慶應義塾大学 法学部政治学科 FIT入試 志望理由書 提出例(笠原 英彦研究会向け)


■議論の整理

これまで日本の医療は国際的にも高い評価を受けてきた。先進国のなかでも、これだけ低医療費で高い水準の医療が提供されている国はない。医療費はついにイギリスより低い水準となっている。それでいて、世界でもトップレベルの長寿、そして最低の新生児死亡率を記録している。 WHOのみならず、 OECDでも健康達成度で第一位にランクされている。しかし近年、世界に冠たる国民皆保険制度を中軸とする日本の医療体制に対する不信感が急激に高まってきている。

近年、騒がれている「医療崩壊」の原因は医師と医療費の不足にある。一般会計で四割に達した社会保障関係 費は、急速な高齢化の進展に伴いこれからも増大化することが懸念される。しかし、医療費を抑制しすぎたために、勤務医は過酷な労働を強いられている。不足の著しい産科、小児科は閉鎖となったところも多く、都内の総合周産期センターも基準となるスタッフを 配置できているところは少ない。過剰労働に疲れた勤務医が開業するケースも多いが、年間開業件数5000件 で閉鎖する診療所もほぼ同数に達している。医師が多いはずの東京でも妊婦のたらい回し事件が大きく報道され、救急医療体制への不信感が高まっている。 医師不足が勤務医の疲弊を招き、医療ミスの温床となっている。医療の問題点として、医師不足、救急医療体制の不備、たらい回し、介護難民、医療ミス、医療費の不足などが指摘されている(*1)。

 

■問題発見

ここで、医師と医療費の不足の原因に関して、厚労省が行ってきた医療費抑制政策の課題について改めて考えてみたい。

 

■論証

医療訴訟の増大、医師不足の深刻化などその背景には様々な原因が考えられる。慢性的な医師不足により、とりわけ産科、小児科の閉鎖が相次いでいる。過疎地域はもちろんであるが、都市部でも分娩のできない区が出てきている。当然、こうした傾向は少子化対策上も大きな懸念材料である。憂慮すべき事態が発生した最大の原因は厚労省の医療費抑制政策にある。国は、かねて医師不足が指摘されながら、それを医師の偏在と説明してきた。

新制度の導入にあたって、厚労省が最も配慮したのは財政負担のあり方である。後期高齢者は独立方式とし 前期高齢者を国保と被用者に分ければ、健保の負担増にはなるが市町村国保の負担は軽減する。同制度は当然、社会保障制度と税制の両面から検討を加える必要がある。社会保障制度の所管は厚生労働省であり、税制の所管は財務省や総務省が管轄している。縦割り行政の弊害として 全体的な負担のあり方について所管官庁間での調整が不十分という点がある。

医師の増員には時聞がかかるため、開業医に協力を求め、地域の病院の救急医療体制強化を当面模索すべきである。そして、開業医の協力には手厚い診療報酬の設定が必要である。そのためにも、医療費をはじめ社会保障関係費を引き上げるべきである。

したがって、医療費の安定財源への解決策として、消費税が挙げられる。そのためには、目的税化することが不可欠である。そして、消費税を目的税化する前に徹底した歳出の削減が求められる。いずれにせよ、まず厚労省が医療費政策の失敗を認め、政策の大転換を断行すべきである。これはかなり大掛かりな政策変更であり、新たな外部組織を設置し、医療関係者のほか医療経済学だけでなく、 公共政策学や経営学、そして法律学など広範なメンバーの参加を考慮すべきである(*1)。

 

■結論

そこで、縦割り行政の弊害を解消するための新たな外部組織のフレームワークを考案し、少子高齢化社会における医療政策の役割について研究したいと考えている。

 

■結論の吟味

上述の研究を遂行するため,貴学法学部政治学科に入学し,政治学や日本政治論を専門に研究している笠原英彦教授の研究会に入会することを強く希望する。

 

※1笠原英彦(2009)「「医療崩壊」の本質と医療行政の見直し」法學研究 : 法律・政治・社会 (Journal of law, politics, and sociology). Vol.82, No.2 (2009. 2) ,p.33- 55

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