慶應義塾大学 法学部法律学科 FIT入試 志望理由書 提出例(丸山 絵美子研究会向け)

■議論の整理論

我が国において、1980年代頃から、英会話受講契約、エステティックサービス契約、資格取得講座契約など、役務の提供を中心的債務とし、比較的長期または多数回にわたって履行がなされる、いわゆる継続的役務提供契約に関して、契約の解消をめぐる顧客からの苦情や相談が増加した。継続的役務提供契約は、実際に履行が開始されるまで役務の有用性、相性などが明らかとならないことが多いという役務故の特徴を有し、また多数回あるいは長期にわたって履行がなされることから一時的契約に比べて契約期間中に転居や病気などで役務の受領が困難となる状況が生じやすいという長期性故の特徴も有する。

したがって、このような特徴を兼ね備えていない契約に比べて、顧客が期待外れや事情 の変化などを理由に解約を望むことが多くなるが、他方で、事業者は約款によって解約や前払い金の返還を認めない傾向にあったためトラブルが増加したものと考えられる。

民法の解釈による対応を踏まえると、特定継給付の有用性、相性の評価が給付の受領以前には困難であるというこの種の契約のもつ不確実性に由来するところが大きい。しかし、民法の解約規定は、かかる不確実性に着目してそこから生じる危険を分配するものではない。

そこで、契約の一方当事者 について、交渉力、情報収集力、判断能力に限界があるため、他方に有利に企画した契約内容に同意するしかないという場合、あるいは自分に不利な条件に気がつかずに包括的な同意を与えてしまうといった場合については、長期多数回の契約期 間条項や そのような拘束期間を前提とした違約金条項、前払い 金不返還条項に ついて、契約の不確実性から生じる危険が顧客に一方的に不利に割り当てられているとして、信義則違反や公序良俗違反を根拠に無効とし、許容される期間経過後の解約あるいはそれに相応しての損害賠償 の制限を認める解決が採用され続的役務提供契約を規制対象とする訪問販売法 一七条の10の中途解約権を採用することで一定の解決が得られると考えられる(*1)。

 

■問題発見

ここで,継続的役務提供契約に関して中途解約権を適用する際の課題について改めて考えてみたい。

 

■論証

中途解約権は、先に検討した不確実性から生じる危険について顧客側に不当に不利に危険が割り当てられている状況を 一般条項 を介して是正するというルールを、解約制度 として具体化 したものとして捉えることができると考 える。

そもそも、継続的役務提供契約の解消を巡って現れた問題 は、給付の有用性、相性の評価が給付の受領以前には困難であるというこの種の契約のもつ不確実性に由来するところが大きい。しかし、民法の解約規定は、かかる不確実性に着目してそこから生じる危険を分配するも のではない。そこで、契約の一方当事者について、交渉力、情報収集力、判断能力に限界があるため、他方に有利に企画した契約内容に同意するしかないという場合、あるいは自分に不利な条件に気がつかずに包括的な同意を与えてしまうといった場合については、以下の解決策が取られる。それは、長期多数回の契約期間条項やそのような拘束期間を前提とした違約金条項、前払い金不返還条項について、契約の不確実性から生じる危険が顧客に一方的に不利に割り当てられているとして信義則違反や公序 良俗違反を根拠に無効とし、許容される期間経過後の解約あるいはそれ に相応しての損害賠償の制限を認める解決である。

特定継続的役務提供契約を規制対象とする訪問販売法一七条の10の中途解約権について検討する。この中途解約権は、先に検討した不確実性から生じる危険について顧客側に不当に不利に危険が割り当てられている状況を一般条項を介して是正するというルールを、解約制度として具体化したものとして捉えることができると考える。

訪問販売法自体は、ルールの明確化などの目的から、他の不確実性を伴うような契約を排除して、問題が典型的に現れ現実 にトラブルも多い特定継続的役務を規制するものである。しかし、本来、かかる中途解約権は特定継続的役務提供契約にのみ妥当する制度という訳ではない。したがって、立法のあり方としては、例えば、消費者契約法などにおいて、事前の評価に不確実性が伴いやすい給付を目的とする契約でかつ長期あるいは過量販売契約であるものについて、許容される相当な期間や量をこえた場合の解約権を消費者に付与し、適用対象の具体的指針を与えていくことを検討すべきである(*1)。

 

■結論

そこで,継続的役務提供契約に対して中途解約権の解釈を拡げられるような活用スキームを検討し、消費者にとって望ましい法制度の役割について研究したいと考えている。

 

■結論の吟味

上述の研究を遂行するため,貴学法学部法律学科に入学し,民法を専門に研究している丸山絵美子教授の研究会に入会することを強く希望する。

 

※1丸山絵美子(2001)「消費者契約としての継続的役務提供契約の解消」私法 2001 (63), p171-177

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