慶應義塾大学 法学部法律学科 FIT入試 志望理由書 提出例(太田 達也研究会向け)

■議論の整理論

インドネシアでは、現在まで、少年法や少年裁判所法など少年司法手続を定めた法律は制定されておらず、犯罪を 行った少年に対しても、成人と同様、刑事訴訟法が適用され、その手続は刑事手続としての性格を帯びている。

終局処分については、刑法典中の僅かな規定を根拠として、刑罰の外、一定の保護処分を言渡すことが可能となっている。しかし、少年の保護や福祉といった観点から、手続上、少年に対し成人と異なる取り扱いをする必要性が認識されるようになったため、1958年以降、「少年審判」制度が慣行として実施され、公判の非公開や社会調査の実施 といった特例が認められてきている。しかし、これは、法律上の根拠を持たない実務慣行上の措置であるため、少年裁判法の立法作業が1960年代に始められ、67年には最初の草案が起草されている。この草案は70年代から80年代にかけ何度か修正が施されたものの、一度も国会(国民議会)に上程されることなく、その後は議論も立ち消えとなっていたが、90年代に入ると少年裁判法制定を巡る議論が再燃し、現在、草案の調整作業が進められている。

現在、インドネシアでは、現行法制の枠内で少年審判制度を維持・発展させる努力が続けられてきていること、そして、少年の福祉と権利保障という二つの理念を基礎に据えながら少年裁判法の制定へ向けて立法作業が進められているということである(*1)。

 

■問題発見

ここで,インドネシアにおける少年裁判法の制定における課題について改めて考えてみたい。

 

■論証

インドネシアでは、少年司法制度の確立にとって法の整備は不可欠であるとの認識から、少年裁判法の早期実現へ向けて地道な作業が進められている。ただ、こうした立法作業の前途に不安材料がない訳ではない。特に、同時進行している刑法改正草案との調整が早急に図られなければ、少年裁判法の実現がさらに遅れる可能性もある。独立後、植民地立法からの脱却と固有法の制定という目標を掲げ、1981年にまず手続法たる刑事訴訟法制定を実現させたインドネシアにとって当面の課題は実体法たる刑法の全面改正であろう。

少年裁判法草案に見られるその他の特色としては、起訴猶予制度の採用、民間団体やボランティアの活用、司法省 と社会省の役割分担の明確化などが指摘できる。

少年が遵守すべき一般遵守事項と特別遵守事項を定め、裁判所における審理を延期するというものとされているが、詳細な手続の内容について93年草案は何も規定しておらず定かでない。ただ一つ言えることは、少年裁判法草案にせよ刑法改正草案せよ、手続の初期の段階で少年を手続から外すことによってその社会復帰を容易ならしめるダイバージョンの制度を採用しようとしている点では共通しているということである。一方、少年裁判法草案では、非行少年の処遇に民間団体や篤志家を積極的に参加させる方向を打ち出している。

しかし、少年裁判法草案との間で調整を要する箇所が少なくないことが露呈するに至った今、司法省および国務官房の問で十分な協議を行う必要がある。さらに、少年裁判法草案および刑法改正草案の規定には少年に対する刑罰や処分など新たな制度の創設を唄ったものが少なくないが、ただ闇雲に新しい制度を導入してみたところで、それが画餅に帰しては元も子も無い。これらの制度を現実に 運営していくための具体的な施策が十分に検討されるべきであろう。少年裁判法を巡る今後の立法動向については、今後とも検討すべきである(*1)。

 

■結論

そこでインドネシアでの少年裁判法を巡る立法動向を研究することで、日本の少年裁判の効果的な運用方法について研究したいと考えている。

 

■結論の吟味

上述の研究を遂行するため,貴学法学部法律学科に入学し,刑事司法や被害者学、アジア法を専門に研究している太田達也教授の研究会に入会することを強く希望する。

 

※1太田達也(1995)「インドネシアの少年審判制度 : 少年裁判法草案を巡って」法學研究 : 法律・政治・社会 (Journal of law, politics, and sociology). Vol.68, No.8 (1995. 8) ,p.29- 96

 

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