慶應義塾大学 法学部法律学科 FIT入試 志望理由書 提出例(柳 明昌研究会向け)

■議論の整理論

近年、取締役の責任追及を現状よりも緩和する方向での動きが顕著である。その方策は多様であるが、大別すると、二つに分けられる。第一に、取締役の責任確定を阻止するように機能するものである。例えば、訴訟提起等に関する会社側判断の尊重が挙げられる。第二に、取締役の責任負担の軽減を目的とするものである。例えば責任制限制度が挙げられる。

特に会社判断の絡む代表訴訟の絞り込みにおいて、検討することは重要である。その理由は、第一に、代表訴訟における紛争の実態が取締役・会社対少数派株主であること、第二に、会社判断の絡む責任緩和策は、従来の代表訴訟の理解との関係で理論的に重要な問題を含むことである。

また、取締役の責任負担の軽減による絞り込みの方法としては、第一に、アメリカ法における取締役の責任制限制度のように取締役の責任発生前に定款変更によって絞り込む方法、第二に、取締役 の責任発生後で株主 の訴え提起前の段階 で絞り込む方法、 第三 に、訴え提起後判決確定までの段階で絞り込む方法、第四に、判決確定後 に絞り込む方法が考えられる(*1)。

 

■問題発見

ここで,代表訴訟を取締役の責任負担の軽減に取り入れる際の課題について改めて考えてみたい。

 

■論証

代表訴訟を会社法上、位置づける際には次の問題が想定される。それは、代表訴訟を絞り込む場合、できる限り早期の段階でそうすることが望ましいと考えられる。なぜなら、訴訟が長期化すると、コストがかかるだけではなく訴訟の事実が公になることから生ずる不利益、経営及び株価への悪影響が懸念され、訴訟 の長期化は継続企業を前提とする限り会社 、株主双方にとって利益とはならないと考えられるからである。株主の関心もインカムゲインではなくキャピタルゲインにあるため、訴訟それ自体がマイナス要因となる可能性が高い。

取締役の責任負担の軽減による絞り込みの方法は上記で述べたように4つの方法が考えられる。しかし、第二、第三、第四の方法はすべて第 一の方法と比較すると二つ問題がある。すなわち第一に、取締役会や監査役の権限との衝突を避 けることができないこと、第二に、代表訴訟が単独株主権であることとの衝突を回避できない点である。一方、第一の方法を採用する場合、不当な株主権 の侵害を回避できるし、責任発生後に重要な役割 を果 たす取締役会 や監査役の権限との衝突を避けることができる。代表訴訟 が単独株主権であることを維 持するなら、情報開示の拡充などの手当をしつつ第 一の方法を 採用する のが望ましいと考える。

したがって、取締役の救済を目的とする代表訴訟の絞り込み は、単独株主権を前提とする限り責任発生前の定款変更によるべきである。責任発生後とするなら買取請求権 の拡張などの手当が必要となる。立法論として代表訴訟を少数株主権化するならば特別 決議 または特殊の決議に基づく責任緩和を認める余地があるため、今後さらに検討を拡げるべきである(*1)。

 

■結論

そこで,取締役の責任負担の軽減の視点から、代表訴訟の絞り込みを具体的に導入する場合の期待される法制度の役割について研究したいと考えている。

 

■結論の吟味

上述の研究を遂行するため,貴学法学部法律学科に入学し,商法、会社法や金融商品取引法を専門に研究している柳明昌教授の研究会に入会することを強く希望する。

 

※1柳明昌(2019)「取締役の責任緩和の可能性とその限界」私法 2000 (62),p 266-272

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