慶應義塾大学 法学部法律学科 FIT入試 志望理由書 提出例(田村 次朗研究会向け)

■議論の整理論

国家が市場経済を規律するための法として、独占禁止法に代表される競争法がある。一方、国家間の経済 活動を規律するための法として通商法があり、自由貿 易の促進のために締結されたGATT(関税と貿易に関する一般協定= General Agreement on Tariffs and Trades)やWTO(世界貿易機関)などがその中心となる。1990年代初頭、当時の欧州委員会副委員長で競 争政策・金融機関担当のレオン・ブリタン卿は、GATTにおける通商法と競争法 との調和を提唱した。

例えば、競争法でも通商法でも「ダンピング」という言葉が使われる。日本における競争法である独占禁止法でいえば、独占規制や不公正な取引方 法の規制における「略奪的価格設定」あるいは「不当廉売」のことである。そして、競争法における「ダンピング」とは、コスト割れを継続的に行うことが基準として設けられているケースが多い。

それに対して、通商法で使われる「ダンピング」は、名称は同じであるが、その基準が異なっている。かつて日本は、対米輸出において「ダンピング」と認定されることが頻繁に起こり、この通商法の「ダンピング」の基準は、コスト割れを必要としない。すなわち、 ある国からある国へ輸出する際に価格差があり、それが相手国の産業に重大な損害を与えるのであれば、それだけで「ダンピング」の要件を満たしてしまう。

しかし、当該産業が衰退し始めたから輸入が増えたのか、輸入が増えたから衰退したのか、またそれがダンピングは、通商政策の変遷を概観し、通商政策の背景の変化と貿易における競争政策の重要性について明確な対応関係は不明である(*1)。

 

■問題発見

ここで競争法と通商法の調和に関する課題について改めて考えてみたい。

 

■論証

グローバル経済の次の焦点は、各国の法制度の調和であり、競争法は重要な分野の一つである。相手の国に入って、その国の中で公正かつ、自由な競争条件を整えてはじめて自由貿易ができるからである。

例えば、日本とアメリカは電気通信分野で摩擦をくり返してきた。サービス貿易の分野で日本の市場に参入したいというアメリカの思惑があったからである。 実は、「サービス貿易」という言葉はアメリカのアイ デアである。本来、サービスは貿易できるものではな く、サービスは相手の国の中に入って競争することしかできないはずである。それを「サービス貿易」という言葉を導入した理由は、WTOのフレームワークの 中で相手国に対して、当該分野の自由化を迫るという 考え方があったからである。金融や電気通信などの日本の重要な関心事項と思われる分野に関する貿易についても、国内の競争条件が テーマになってくる。したがって、その整備が必要に なり、今後はそれが国際社会で調和されていかなければいけないという流れになっていくはずである。 FTA、EPA、あるいはTPPの議論においても、 各国の法制度、とりわけ競争法により同条件の土俵が確保されない限り、 真の意味での自由貿易は実現されないだろう。競争環 境の整備こそが、経済成長につながるというコンセン サスは広がり、競争政策の重要性は国際的に認識されつつあることも、また事実である。自由貿易を進展さ せるためには、さらなる競争法の調和が必要不可欠なものとなるため、今後さらに検討すべきである(*1)。

 

■結論

そこで貿易の事例から見るフレームワークを検討し、競争法の調和が我が国の経済発展に与える影響について研究したいと考えている。

 

■結論の吟味

上述の研究を遂行するため,貴学法学部法律学科に入学し,経済法や国際経済法を専門に研究している田村次朗教授の研究会に入会することを強く希望する。

 

※1田村次朗(2012)「報告二 : 競争法と通商法の調和に向けて」法學研究 : 法律・政治・社会 (Journal of law, politics, and sociology). Vol.85, No.12 (2012. 12) ,p.128- 140

 

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