慶應義塾大学 法学部 FIT入試 B方式 2017年 総合考査Ⅰ・Ⅱ 解答例

2017年度FIT入試第2次選考概要(B方式)

1.総合考査Ⅰの概要 •設問の内容:

「清国に対する宣戦の詔」(明治27年8月1日)、「独逸国に対する宣戦の詔書」(大正3年8月23日)、および「米英両国に対する宣戦の詔書」(昭和16年12月8日)の各冒頭部分を示し、個々の詔(書)に書かれた語句や文言を比較し、そこから導き出される、近代日本の国家と戦争の歩みについて考察することを求めました。

  • 解答の形式:A3原稿用紙形式・400字程度。
  • 試験時間:45分

参考URL:https://teikoku-denmo.jp/history/kaisetsu/other/nisshin-kaisen-shousho.html

https://kyukouzoku.web.fc2.com/contents/data-cyoku-war1.html

https://blogs.yahoo.co.jp/tomopapa1023/11606602.html?__ysp=57Gz6Iux5Lih5Zu944Gr5a%2B%2B44GZ44KL5a6j5oim44Gu6KmU5pu4

2.総合考査Ⅱの概要 •設問の内容:

1887年、ポーランド人のルドヴィコ・ザメンホフは、異なる母国語を持つ人びとの間でコミュニケーションを容易にするために「普遍的な言語」、エスペラント語を考案しました。ところが、130年ちかくたった今も、エスペラント語の話者は期待されたほどには増えず、その数は200万人を超えないといわれています。もしエスペラント語が当初の思惑どおり世界中に普及していたら、世界は変わっていたでしょうか。あなたの考えを400字程度で述べてください。

  • 解答の形式:A3原稿用紙形式・400字程度。
  • 試験時間:45分

 

≪総合考査Ⅰ 解答例≫

【議論の整理・問題発見】

「宣戦の詔」では、天からの助力を得た万世一系の天皇が、日本国の元首として、臣民である日本国民に詔を宣言し、宣戦布告の対象国を示し、国家目的遂行の指示を与えている点で共通している。しかし、「清国に対する宣戦の詔」では、政府関係者の最善の努力義務に触れるにとどまる一方で、「米英両国に対する宣戦の詔書」では、戦争が国家の総力戦となったことを示す「億兆一心國家ノ總力ヲ擧ケテ」という言葉が追加されている。また、清国と独逸国への「宣戦の詔書」では国際法遵守への配慮がみられるが、「米英両国に対する宣戦の詔書」では、その文言が削除されている。

【論証・結論】

これは、近代における戦争行為が第一次大戦以後から、一般市民は関係の薄い軍人と国家のみの行為から、国民全てを巻き込んだ総力戦へと変貌したことと、近代の国際法の枠外の交戦活動まで戦争手段として容認されている現実を日本政府が踏まえた上での言葉だと考えられる。

 

≪総合考査Ⅱ 解答例≫

【議論の整理・問題発見】

エスペラント語の普及により、世界の変化を期待することは可能だ。確かに、生活では使わない数学、プログラミング言語、音楽といった広義の言語を通して、世界は常に変化しているからだ。しかし、エスペラント語自体は、普及しても利用されない言語であるから、世界はエスペラント語によっては変化しないと考えられる。

【論証・結論】

なぜなら、エスペラント語は人間生活に深く根ざしていないが故に、他の言語に容易に代替されてしまうからだ。具体的には、生活・思考・歌唱といった文化活動は日常言語に、そして科学的真理の探究や数理系言語は、数学やプログラミング言語といった目的にあった他の広義の言語に代替される。その結果、エスペラント語が自然と普及しなくなってしまう。結論として、エスペラント語が仮に普及しても、他の世界共通言語に代替され、自然と利用されなくなるが故に、世界は何も変化しないと考えられる。

 

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