■設問
テーマ(法律学科):
『近年、インターネットの普及により、様々な情報の入手が簡単になった反面、中高生のネット依存症が問題視されたり、学校で課せられたレポートや論文を安易なコピー&ペーストで作成したり、コミュニケーションツールのアプリケーションを利用して犯罪に巻き込まれるなどの事件が発生し社会問題化しています。インターネットと賢くつきあっていくためには、どのレベル(たとえば政府、学校、家庭、あるいは個人など)でのどのような対応が必要になってくるでしょうか。自由に議論してください。』
テーマ(政治学科):
『鯨や犬など特定の動物を食材とする文化を持つ人びとに対して、そのような文化を持たない人びとから批判が投げかけられることがあります。この例に見られるように、ある文化の習慣がそうした習慣を持たない他の文化から批判される場合、当の文化に属する人びとは、批判に対してどのように応答していくべきでしょうか。自由に議論してください。』
■想定される議論の流れ
・法律学科
それではインターネットと賢くつきあっていく方法について話し合っていきます。議論の流れとして、まず、インターネットにおける問題点を列挙し、問題の深刻度によって順位付けをします。次にそれらの問題に対してどのような対応ができるかを論じます。最後に総括を行います。
インターネットにおける問題点を列挙します。
一番大きな問題はコミュニケーションツールのアプリケーションなどを利用することで犯罪に巻き込まれてしまうケースです。思春期に犯罪を経験してトラウマを植え付けられてしまうのは教育上よくありません。最悪の場合は命に関わるような犯罪に巻き込まれる可能性もあります。したがって、コミュニケーションツールの使用がもっとも厳しく制限されるべきです。二番目に大きな問題は一番目のものに類似していますが、SNSなどを通したいじめが挙げられます。いじめの問題も、心に大きな傷を負う原因となり、最悪の場合、自殺などに追い込まれてしまうこともあるため、深刻な問題であります。三番目に大きな問題はネット依存症です。ネット依存症になることで、勉学などの日々の生活に支障が出てしまいます。
続いて、それぞれの問題に対しての解決策を考えていきます。
一番目の問題に対しては政府と家庭からアプローチをとることができます。コミュニケーションツールのアプリケーションなどによる犯罪は、Twitterなどの不特定多数の人間が使うことのできるSNSと出会い系アプリなどの2種類が考えられます。どちらのツールにしても、まずは政府が厳しく規制する必要があります。例えば、18歳以下の人は不特定多数の人と関われるようなアプリケーションの使用を制限するなどが考えられます。特に18歳以下の人間だと精神が不安定であったり、正しい判断ができなかったりするため、このような政府による規制が必要です。また、家庭内での規制としては、例えば携帯の契約時にホワイトリスト方式などで使えるアプリケーションやインターネットサイトを制限しておくと、そもそも危険な出会いなどの可能性が全くありません。したがって、子どもたちが危険な犯罪に巻き込まれるリスクを除去することができます。
二番目の問題に対しては学校と家庭からアプローチをとることができます。いじめの問題は、インターネット上だけではなく現実でも同時に起きている場合が非常に多いです。まずは学校で、いじめの早期発見や正しく指導することを第一に考えるべきです。インターネット上だけのいじめを消すことは根本的な解決にならないので、そのような措置が必要です。その上で、家庭内でコミュニケーションツールの使用についてルールなどを決める必要があります。そうすることで、いじめの問題にも対処することができます。
三番目の問題に対しては家庭と個人からアプローチをとることができます。自分でも気づかないうちにインターネットの使用時間が増え、ネット依存症になるということは往々にしてありえます。学業などに支障をきたす可能性も十分にあります。まずは家庭内で携帯の使用についてルールを決めるべきです。例えば、平日は一日一時間、休日は一日三時間のように使用する時間を定めたり、夜十時以降は携帯を触らないと定めたりすることができます。何かしらの制限があることで、インターネットを使いすぎるという事態を防ぐことができます。また、個人単位では携帯の利用に関して定期的に省みることが必要です。特に、自分がこれからなんのためにどれくらいの時間携帯を使うのかということを考えることで、ネット依存症を防ぐことができます。
最後に総括を行います。現在、インターネットによる問題は社会問題となっています。インターネット経由で知り合った人からの犯罪、いじめ、ネット依存症など問題は多岐にわたります。それぞれの問題に対して、政府、学校、家庭、個人など様々なレベルから対応をすることが可能ですが、最も必要な措置は政府による介入です。なぜなら、政府がすべてのフレームワークを作ることができるからです。政府がとれる介入として、不特定多数の人とのコミュニケーションツール(TwitterやInstagramなど)には年齢制限をつけるなどがあります。続いて、学校や家庭などが個人に対してルールを課すことができ、問題の対処にあたれます。最後に、効力としてはそれほど強くありませんが、個人個人が気をつけることによってインターネットに関連する問題に対処することができます。
・政治学科
それでは自らの文化を批判されたときの対処方法について話し合っていきます。議論の流れとして、まず、どのような流れで対処すべきかを定めます。次にそれぞれの流れでどのような対処が必要か具体的に論じます。最後に総括を行います。
まずは議論の流れについて述べます。自らの文化を批判されたとき、その対処の仕方には5つのステップがあります。1つ目は感情的にならず相手の意見を受け入れることです。2つ目は、相手の主張をしっかりと解釈し、客観的な事実を述べている部分と主観的な感情にわけることです。3つ目は客観的な事実に関して間違いがあれば、訂正することです。4つ目は主観的な感情に関してしっかりと受け入れることです。5つ目に自分たち文化の考えと他の文化の考えを明確化することです。
1つ目に関して。相手からどのような批判を受けたとしても、まずはそれを受け入れる必要があります。誰しも批判されることで不愉快な気分になります。しかし、人間社会を生きている限り、批判されないということはありえません。どんな聖人君子であろうとも、批判されるときはあります。したがって、第一ステップとして相手からの批判をしっかりと受け入れる必要があります。
2つ目に関して。相手が批判した内容を解釈し分析する必要があります。批判の内容は大きく2つに分類することができます。客観的な事実を述べている部分と主観的な感情を述べている部分です。例えば、相手の批判内容が「あなた達は犬を食べている。犬とは本来人間のパートナーであり、犬を食べるという惨たらしいことは許されるべきではない」というものだったとします。この主張において、「犬を食べている」という部分は事実に当たります。一方で「犬が人間のパートナーであり、犬を食べることは惨たらしい」というのは主観的な意見でしかありません。このような分析をすることで、相手の批判を冷静に受け止めることができます。
3つ目に関して。もし相手の批判内容の事実部分が現実と乖離している場合は、それを指摘する必要があります。こうすることで、相手の自分たちの文化に対する誤解をとくことができます。2つ目と同じ例を扱います。相手の批判内容が「あなた達は犬を食べている。犬とは本来人間のパートナーであり、犬を食べるという惨たらしいことは許されるべきではない」というものだったとします。この主張において、「犬を食べている」という部分は事実に当たります。しかし、この場合において、相手が考えている事実には勘違いが含まれている可能性があります。なぜなら相手の前提は「犬がパートナーである」ということだからです。つまり、相手はペットにするような犬を食べているという勘違いをしている可能性があるのです。したがって、このような場合においては、「確かに犬は食べているが、その犬はあくまでも食用に飼われたものである」というように事実に関する訂正や補足を行う必要があります。
4つ目に関して。相手の主観的な感情については、否定せずにしっかりと受け入れる必要があります。相手の感情を否定することは簡単ですが、そうしてしまうことは、相手との確執を深めることにつながってしまいます。相手の事実誤認を正すことができたあとでも、相手の批判的感情が変わらないようであれば、それはそれで受け入れましょう。
5つ目に関して。以上の4つのステップを踏まえたうえで、自分たちの文化の考え方と相手の文化の考え方の違いを明確化する必要があります。この違いを明確にすることでお互いに受容し理解し合うためのきっかけを作ることができます。文化同士で大きな違いが生まれることもありますが、どちらの文化が正しいということはありません。それぞれが文化の特徴であり、素晴らしいところです。お互いにその考えを受容しあえるように話を深めていく必要があります。仮に相手の批判感情が変わらなかったとしても、そういった批判感情を持つような考え方も存在するということを知れれば、それだけで多文化への受容度が高まったと言えます。
最後に総括をします。自分たちの文化を批判されたときは、相手の意見を真っ向から否定するのではなく、間違っている事実のみを訂正すればよいです。相手の主観的な感情は否定せず、意見をすり合わせることだけに集中すれば大丈夫です。たとえ意見のすり合わせが難しかったとしても、相手の考えを知れればそれが多文化理解へとつながります。
■ディベートのコツ
・法律学科
議論の整理→議論が錯綜しないように、「何について話し合うのか」、「どのように話し合うのか」を定める必要があります。今回の場合、インターネットの問題への対処法について論じます。
それではインターネットと賢くつきあっていく方法について話し合っていきます。議論の流れとして、まず、インターネットにおける問題点を列挙し、問題の深刻度によって順位付けをします。次にそれらの問題に対してどのような対応ができるかを論じます。最後に総括を行います。
問題発見及び論証→それぞれの側面から原因を挙げていきます。意見を主張するときは、その意見の根拠や背景についても触れるようにします。前提条件についてしっかりと確認するようにしましょう。
インターネットにおける問題点を列挙します。
一番大きな問題はコミュニケーションツールのアプリケーションなどを利用することで犯罪に巻き込まれてしまうケースです。思春期に犯罪を経験してトラウマを植え付けられてしまうのは教育上よくありません。最悪の場合は命に関わるような犯罪に巻き込まれる可能性もあります。したがって、コミュニケーションツールの使用がもっとも厳しく制限されるべきです。二番目に大きな問題は一番目のものに類似していますが、SNSなどを通したいじめが挙げられます。いじめの問題も、心に大きな傷を負う原因となり、最悪の場合、自殺などに追い込まれてしまうこともあるため、深刻な問題であります。三番目に大きな問題はネット依存症です。ネット依存症になることで、勉学などの日々の生活に支障が出てしまいます。
結論→今回のように広く話し合いをしているときは、議論の総括をしましょう。
最後に総括を行います。現在、インターネットによる問題は社会問題となっています。インターネット経由で知り合った人からの犯罪、いじめ、ネット依存症など問題は多岐にわたります。それぞれの問題に対して、政府、学校、家庭、個人など様々なレベルから対応をすることが可能ですが、最も必要な措置は政府による介入です。なぜなら、政府がすべてのフレームワークを作ることができるからです。政府がとれる介入として、不特定多数の人とのコミュニケーションツール(TwitterやInstagramなど)には年齢制限をつけるなどがあります。続いて、学校や家庭などが個人に対してルールを課すことができ、問題の対処にあたれます。最後に、効力としてはそれほど強くありませんが、個人個人が気をつけることによってインターネットに関連する問題に対処することができます。
・政治学科
議論の整理→議論が錯綜しないように、「何について話し合うのか」、「どのように話し合うのか」を定める必要があります。今回の場合、自らの文化を批判されたときの応答について論じます。
それでは自らの文化を批判されたときの対処方法について話し合っていきます。議論の流れとして、まず、どのような流れで対処すべきかを定めます。次にそれぞれの流れでどのような対処が必要か具体的に論じます。最後に総括を行います。
問題発見及び論証→それぞれの側面から原因を挙げていきます。意見を主張するときは、その意見の根拠や背景についても触れるようにします。前提条件についてしっかりと確認するようにしましょう。
1つ目に関して。相手からどのような批判を受けたとしても、まずはそれを受け入れる必要があります。誰しも批判されることで不愉快な気分になります。しかし、人間社会を生きている限り、批判されないということはありえません。どんな聖人君子であろうとも、批判されるときはあります。したがって、第一ステップとして相手からの批判をしっかりと受け入れる必要があります。
2つ目に関して。相手が批判した内容を解釈し分析する必要があります。批判の内容は大きく2つに分類することができます。客観的な事実を述べている部分と主観的な感情を述べている部分です。例えば、相手の批判内容が「あなた達は犬を食べている。犬とは本来人間のパートナーであり、犬を食べるという惨たらしいことは許されるべきではない」というものだったとします。この主張において、「犬を食べている」という部分は事実に当たります。一方で「犬が人間のパートナーであり、犬を食べることは惨たらしい」というのは主観的な意見でしかありません。このような分析をすることで、相手の批判を冷静に受け止めることができます。
3つ目に関して。もし相手の批判内容の事実部分が現実と乖離している場合は、それを指摘する必要があります。こうすることで、相手の自分たちの文化に対する誤解をとくことができます。2つ目と同じ例を扱います。相手の批判内容が「あなた達は犬を食べている。犬とは本来人間のパートナーであり、犬を食べるという惨たらしいことは許されるべきではない」というものだったとします。この主張において、「犬を食べている」という部分は事実に当たります。しかし、この場合において、相手が考えている事実には勘違いが含まれている可能性があります。なぜなら相手の前提は「犬がパートナーである」ということだからです。つまり、相手はペットにするような犬を食べているという勘違いをしている可能性があるのです。したがって、このような場合においては、「確かに犬は食べているが、その犬はあくまでも食用に飼われたものである」というように事実に関する訂正や補足を行う必要があります。
4つ目に関して。相手の主観的な感情については、否定せずにしっかりと受け入れる必要があります。相手の感情を否定することは簡単ですが、そうしてしまうことは、相手との確執を深めることにつながってしまいます。相手の事実誤認を正すことができたあとでも、相手の批判的感情が変わらないようであれば、それはそれで受け入れましょう。
5つ目に関して。以上の4つのステップを踏まえたうえで、自分たちの文化の考え方と相手の文化の考え方の違いを明確化する必要があります。この違いを明確にすることでお互いに受容し理解し合うためのきっかけを作ることができます。文化同士で大きな違いが生まれることもありますが、どちらの文化が正しいということはありません。それぞれが文化の特徴であり、素晴らしいところです。お互いにその考えを受容しあえるように話を深めていく必要があります。仮に相手の批判感情が変わらなかったとしても、そういった批判感情を持つような考え方も存在するということを知れれば、それだけで多文化への受容度が高まったと言えます。
結論→今回のように広く話し合いをしているときは、議論の総括をしましょう。
最後に総括をします。自分たちの文化を批判されたときは、相手の意見を真っ向から否定するのではなく、間違っている事実のみを訂正すればよいです。相手の主観的な感情は否定せず、意見をすり合わせることだけに集中すれば大丈夫です。たとえ意見のすり合わせが難しかったとしても、相手の考えを知れればそれが多文化理解へとつながります。
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