慶應義塾大学 文学部 自主応募総合考査Ⅰ 2019年 解答例

■ 問題

次の文章は,藤野寛『友情の哲学-緩いつながりの思想』の第三章「友情を必要とするのは弱い人か」の全文です。これを読んで,以下の設問に答えなさい。

設問1

傍線部(1)に「友情を妨げるという点では,むしろ,こちらの方が危険性の度合は高いかもしれない」とありますが,それはなぜですか。著者の主張に基づいて説明しなさい。(240字以上,300字以内)

 

設問2

傍線部(2)に「カントには反対して,弱い人であって何が悪い,と居直ってよいのではないか」」とありますが,著者がこのように考える理由は何ですか。著者の主張に基づいて説明しなさい。(240字以上,300字以内)

 

設問1

■ 答案

問題発見→

「自立」とは,そもそも他者による支えを必要とせず,人とのつながりを排除する理念である。

論証→

また,人が自立するということは,一人前になり独り立ちすることであり,そうすると必然的に友達や友情に頼ることがなくなる。

結論→

つまり自立すればするほどに,人生の中で友達とのつながりが占める割合が低くなっていくのである。

吟味→

このように,自立した人の人生は,仕事仲間や家族さえいれば十分という風に展開していく。そういった意味で「自立」は,「自足」=自分で必要を満たすという考えよりも,友達とのつながりを妨げるという度合いが高いと考える。

(原稿用紙で253字相当)

 

設問2

■ 答案(5STEP議論の整理の部分利用)

相違点1(カントの考え)→

カントの「自律」とは,自ら法則を定め,自らが定めた法則なのだから,すすんで自らそれに従う。またその際,自分にしか通用しないような都合などは一切斟酌しない。これは自立とは異なり,他者への配慮という姿勢が歴然と存在しており,他者は尊重されている。しかし,他者に対する思いやりがあっても,他者による支えは必要としないという考えである。

相違点2(作者の考え)→

それに対して,もし外的境遇などで人の支えや助けがどうしても必要となったとき,それでも尚,人は「自律」すべきなのか。カントの考えに反して,人と依存し合いながら生きていくことも人間なのだと考える。

(原稿用紙で260字相当)

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