慶應義塾大学 文学部 自主応募総合考査Ⅰ 2018年 解答例

■ 問題

次の文章は,山折哲雄『「ひとり」の哲学』の一部です。これを読んで,以下の設問に答えなさい。

設問1

傍線部(1)に「「ひとり」を孤立とか孤独の親戚であるかのように扱う言動」とありますが,著者はそのことをどのように考えていますか。親鸞と福沢諭吉の例を踏まえながら説明しなさい。(240字以上,300字以内)

 

設問2

傍線部(2)に「ヤスパースの語る「真の人間」の可能性こそ,この日本列島の歴史に登場する「ひとり」の問題を考えるときの有力な手がかりになるだろう」とありますが,それはなぜですか。著者の主張に基づいて説明しなさい。(240字以上,300字以内)

 

設問1

■ 答案

問題発見→

世間では,少子高齢化の深刻化により「ひとり」=孤立,孤独であるかのような負の考えが目立つようになった。

論証→

しかし,十三世紀の親鸞は,「ひとり」を万人との対比で表現している。万人に注がれた阿弥陀如来の救済の力が,実は自分ひとりに注がれているに違いないと考えるとし,また十九世紀の福沢諭吉は,「ひとり」を国家と対比させ,ひとりが独り立ちするとき国の富強を実現できるとしている。

結論→

このように,二者とも「ひとり」を決して負として捉えていない。このように,ひとりで立ち,歩き,坐り,考えるという「ひとり」の哲学を,忘れてはならないと筆者は考えている。

(原稿用紙で267字相当)

 

設問2

■ 答案

結論・根拠→

ドイツの哲学者カール・ヤスパースは,彼が「基軸時代」と呼ぶ紀元前八百年から前二百年の間に人類最大の精神変革(基軸時代)があり,同じ頃に世界各地で出現した人物たちが共通して経験したこと,そして探求しようとしたことに基づいて「真の人間」の可能性を追求しようとした。

具体例→

その考えになぞらえて日本列島を見たとき,鎌倉時代を「基軸時代」と考え,その頃に出現した親鸞,道元,日蓮,法然,一遍の五人の人物がどう生き,何を語り,死んでいったかの「ひとりの哲学」が見えてくる。このように「ひとり」の問題を考える上で,ヤスパースの議論は,有力な手がかりとなると考える。

(原稿用紙で272字相当)

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