慶應義塾大学 文学部 自主応募総合考査Ⅰ 2017年 解答例

■ 問題

次の文章は,吉見俊哉『「文系学部廃止」の衝撃』の一部です。これを読んで,以下の設問に答えなさい。

設問1

傍線部(1)に「文系が「役に立つ」のは,多くの場合,この後者の意味においてです」とありますが,それはなぜですか。著者の主張に基づいて説明しなさい。(240字以上,300字以内)

 

設問2

傍線部(2)に「「文系=教養」という誤解」とありますが,「文系」と「教養」はどのように異なるか,著者の主張に基づいて説明しなさい。(240字以上,300字以内)

 

設問1

■ 答案

結論→

文系は,役に立つと社会が考える価値軸そのものを再考したり,新たに創造する価値創造型だと言える。

根拠→

それは,文系の知の最大の特徴が総体的に長い時間的スパンで対象を見極め,分析することにあるからである。

だからこそ,長い時間の中で価値創造的に「役立つ」ものを生み出す可能性があると言える。

また,文系の知は価値の軸を多元的に捉える視座を持っていることから,現存の価値軸である多くの人が自明だと思っているものを疑い,反省し,批判を行い,違う価値の軸を見つけるものであることから,新しい創造性を生むことに長けているのである。

(原稿用紙で254字相当)

 

設問2

■ 答案

結論→

文系とは人文社会系の学問のことであり,教養とは文化のことである。

根拠→

十九世紀,ドイツ発の新しい大学概念として「文化=教養」の概念が掲げられ,二十世紀を通じて米国に中心を移動させながら世界に広がった。つまり近代の大学とそこにおける「教養」の理念は,このようにしてドイツの知的達成の伝統を引き継いでいる。

また,「文化=教養」を通じた国民国家の一致という考え方が,東大の初代総長も大切にした大学の理念であった。このような発想は教養擁護の緒論に引き継がれており,更には文化資本としての国民的知識が教養の内実なのである。

(原稿用紙で253字相当)

 

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