慶應義塾大学 文学部 2011年 自主応募総合考査I 小論文 解答例

2011年度 総合考査I

【設問1】

下線部(1)に「商業、つまり市場の補完物よりはるかに重要なこととして翻訳をとらえていたシュライヤーマッヒャーにとって、翻訳とは、複雑な必然性が絡み合った問題だった」とありますが、これはどのような意味ですか。文章全体を踏まえて説明しなさい。(300字以内)

議論の整理→主張のまとめ

シュライヤーマッヒャーは、人は自己同一性として一つの母国語を有し、それが真正な由緒であると考えていた。そのため、翻訳者は原文から離れないように訳することが責務であり、母国語以外で書かれた文章に対しては反対の立場を主張している。

問題発見→問題点を2つ挙げる

ただ、実際には商業活動的なやりやすさの観点で、一種類の言語にニーズが偏ることがある。また、優れた文学作品であっても、書かれた言語に原因があり広く普及しないこともある。

論証→不要

解決策or結論→結論

言語の境界線を越えて重要な文章を普及させることは、異質性と接する中で自己を再認識できるため価値がある。しかし、読みやすく多数派の言語によって書かれた文章が広く普及することを考えると、翻訳とは複雑な問題である。

解決策or結論の吟味→不要

 

計300字

【設問2】

下線部(2)「翻訳を文学という企図の中心に据える見方」とはどのような見方ですか。それについて説明した上で、翻訳が文学において果たす役割について、あなたの考えを述べなさい。(300字以内)

議論の整理→見方の説明

文学は多様な目的のため生み出され、読み手が自分以外の存在を再認識し、深めることができることに意味がある。それを踏まえた時に、翻訳の役割は、言語の壁を越えて文学の持つ意味を増幅させることにあるという見方である。

問題発見→私の考え

私は、翻訳は単なる言語間の橋渡し役でしかないと考える。

論証→考えの説明

翻訳者が筆者の純然たる意図を表現することは不可能だ。だとしたら、原文に忠実だろうと歪曲していようと、程度の問題だけで結果は一緒だろう。原文に忠実だけど読みにくいものも価値はあるし、その逆も然りだ。作品に興味を持つきっかけを作れたならば、それだけでよいのではないか。結果、純然たる意図を知りたくなったら、原文を読むのが一番早いと思う。

解決策or結論→不要

解決策or結論の吟味→不要

 

計297字

 

 

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