■議論の整理・・・
現代の経済は、自分が欲しいものがあったら貨幣と交換する「貨幣経済」が基本である。現在も貨幣経済が中心であるが、同時に、さまざまな交換のあり方が生まれている。そのひとつがポイントである。ポイント制度により、その価値が決定され、利用者は相当額の現金や商品と交換が可能となる。消費者同士で売買契約を結ぶメルカリも、一般的な貨幣経済とは異なる仕組みである。とくに若者の場合、メルカリを通じて得た利益を、他の商品購入に充てるケースが多い。これは貨幣経済というより物々交換に近い感覚である。
■問題発見・・・
現代の若者の消費活動は、貨幣経済よりも物々交換が占める割合が増えているのではないか。物々交換の比重が増えるにつれて、将来、伝統的な貨幣経済は変容を余儀なくされるのではないか。
■論証・・・
論文※1は、貨幣的交換と物々交換が共存する可能性について十分に議論されていないと指摘した。そして、貨幣供給量の増加と経済的厚生の関係性から、そのバランスの妥当性を検討している。インターネットテクノロジーの進化により、貨幣的交換と物々交換の共存の可能性は、新たなステージに入っているというのが私の考えである。そこで、物々交換から貨幣経済に至る進化の歴史ではなく、さまざまに共存するものとして、経済を捉え直す必要性がある。
■結論・・・
そこで私は、論文※1の手法を応用しながら、新たに生まれた交換方法を分析する。そして、現代の若者の消費活動に注目し、貨幣経済のなかで物々交換がどのように共存しているのが、その状況を明らかにする。
■結論の吟味・・・
片岡孝夫教授は、貨幣的交換と物々交換の共存に注目し、貨幣供給量の妥当性を検証している。私は、将来の経済システムの変容を視野に入れ、物々交換の新たな可能性を探るため、片岡孝夫ゼミにて学ぶことを希望する。
論文※1片岡孝夫(2005)「貨幣と物々交換の共存」『早稲田商学』406号(早稲田大学)
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