上智大学 総合人間科学部 特別入試 志望理由書 提出例(草柳浩子ゼミ向け)

■ 議論の整理
子ども期にとって遊びは健全な発達や成長のために不可欠な要素であるため、長期入院によってそれらが適切に享受されにくい子どものケアに遊びを導入するための議論は、医療分野でもっと行われるべきである。子どものストレスを解消する役割は、従来は保護者や知人、ボランティア支援者などの外部に求められてきたが、近年では日常的なケアに遊びを取り入れる発想の必要性やその実践や取り入れ方についても、現状調査や看護師への情報提供・支援がなされている。※1,2

■ 問題発見
草柳ら※2の調査では、現状では多忙な現場において優先度が低く、遊びをケアの一環とすることに対する罪悪感が障壁であることが判明した。また、リサーチの過程で、調査者の促しによって、看護師の意識の変化が見られ、遊びのケアが意味づけされていく様子も報告された。このことは、小児医療分野において、画期的な意味を持つが、その波及と浸透には個別病院や異動のある看護師への介入アプローチでは時間がいくらあっても足りず、より効果的な方法が必要である。

■ 論証
特に、看護師が抱える「罪悪感」の根源を考えると、子どもの遊びケアを仕事とみなさない、医療業界全体に浸透している労働者としての看護師像のイメージ転換を図る必要がある。

■ 結論
この問題を解消するためにはいくつかのアプローチが考えられる。
1 看護師が異動しても病院全体に遊びのケアの意義が残るよう、小児科や混合病棟のある病院の医師や経営母体に対しても意識調査と意味づけを行う
2 多忙な看護師が、遊びのケアの意味づけや、日常ケアの中に位置づけるための方法論やツール、導入事例をパッケージとしてまとめる
3 1,2のために、モデル医療機関を募集し、実証研究を行う

■ 結論の吟味
子どもが好きな私は、医療の中でも子どもの心身の健康に関わり、子どもが入院することになっても親子が安心してストレスなく入院生活を送るための仕組み作りに貢献したい。そのために、病院における子どものストレス軽減のための研究を積み重ねてきた草柳浩子教授のゼミに入会することを強く希望する。また、上智大学のグローバルな研究理念と学習環境で、日本にとどまらず、海外の研究事例を学ぶチャンスを見つけたいと期待している。

※1 「入院中の子どものストレスとその緩和のための援助についての研究」  山崎千裕、小川瑞季、川崎友絵、
山﨑道一、郷間英世 2004 第63巻 第5号
※2「子どもと大人の混合病棟にいる看護師の遊びに対する意識とケアの変化をおこすアクションリサーチ」
日本小児看護学会誌 2011年 20巻 1号 太田有美、川名るり、鶴巻香奈子、平山恵子、朝倉美奈子、江本リナ、草柳浩子、筒井真優美、松本紗織、山内朋子

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