熊本県立大学 総合管理学部総合管理学科 一般入試前期日程 2020年度 小論文過去問解説(AIと日本社会の進路)
問1【設問文】
問題1 資料1は、“Artificial intelligence and the future of humanity”と題した新聞記事の一部です。この英文を読んで、以下の(1)から(4)の問いに日本語で答えなさい。(1)東ロボくんの開発を進める中で改めてわかったことを、50字以内で述べなさい。(2)下線部1の“that”は何を指しているのかを答えなさい。(3)下線部2の“one issue”は何を指しているのかを答えなさい。(4)下線部3を訳しなさい。
問1【解説】
資料1は、AIが医療などで補助者になり得る一方、人間の仕事を奪う可能性もあると述べる。東ロボくんの研究から、AIは意味を本質的に理解せず、読解力に限界があることが確認された。したがって、人間はAIの得意分野と不得意分野を見極め、人間に固有の能力を育てる必要がある。
問1【解答プロセス】
- 議論の整理: 英文の中心は、AIの限界と人間が身につけるべき能力である。
- 問題発見: 設問(1)(2)はAIの弱点、(3)は社会が取り組むべき課題、(4)はAI時代の人間理解を問う。
- 論証: 東ロボくんの事例、内閣府の議論、AIの可能性と限界を対応させる。
- 結論: AIと協力しながら、人間固有の読解・判断・価値形成の力を重視する。
- 吟味: AIを全面否定せず、補助者としての有用性も踏まえて読む。
問1【解答】
(1)AIは意味を本質的に理解しておらず、読解力には現在も限界があるということ。
(2)AIには読解力の限界があるため、意味理解が本質的でない仕事を素早く代替できるということ。
(3)AIにできることとできないことを研究し、人間に限られた能力を育てること。
(4)今日でさえ、AIに関する問題を考えることは、人間とは何かを考えることにつながる。
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問2【設問文】
問題2 資料2-1と資料2-2を読んで、以下の(1)と(2)の問いに答えなさい。(1)資料2-1において、空欄1から8に入るべきもっとも適切な語句(日本語)あるいは数値を答えなさい。なお、空欄7と8は小数第二位を四捨五入して答えなさい。途中の計算結果も小数第二位を四捨五入しなさい。(2)資料2-2において、各国のAI導入状況を産業別に見たとき、日本にはどのような特徴があるか。100字以内で述べなさい。
問2【解説】
資料2-1は、AIが各国の粗付加価値成長率を押し上げる可能性を示す。資料2-2は、AIアクティブ・プレイヤーの産業別割合を比較する表である。日本は全体として中国や米国より低く、特にヘルスケア、産業財、消費者向け、エネルギーなどで低い。一方、テクノロジー・メディア・通信では比較的高い。
問2【解答プロセス】
- 議論の整理: 数値問題と、表から日本の特徴を読み取る問題である。
- 問題発見: 日本のAI導入は産業間で差があり、総合的には遅れが見える。
- 論証: Technology, media, telecom は高めだが、Health care や Industrial は低い。
- 結論: 日本は特定産業では導入が進むが、幅広い産業への浸透は弱い。
- 吟味: 国全体の低さだけでなく、産業別の偏りを示す。
問2【解答】
(1)空欄1は「米国」、空欄2は「ベースライン」、空欄3は「2.6」、空欄4は「4.6」、空欄5は「AI」、空欄6は「ベースライン」、空欄7は「3.4」、空欄8は「1.7」が入る。図表の趣旨は、AIが各国の粗付加価値成長率を押し上げ、とくに日本ではベースラインより大きく成長率が高まる可能性があるという点である。
(2)日本は全体では中国や米国よりAI導入が低く、特にヘルスケアや産業財で低い。一方、テクノロジー・メディア・通信では相対的に高く、産業間の偏りが大きい。
字数カウント: 233字
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問3【設問文】
問題3 資料3を読んで、以下の(1)と(2)の問いに答えなさい。(1)中国におけるマス・マーケット型のサイバー空間AI産業の急成長を支える、日本にはない中国が持つ特徴は何であると筆者は述べているか。2つあげなさい。(2)日本における今後のAI技術の開発において、日本の強みは何であると筆者は述べているか。「サイバー空間AI」と「実世界AI」という語句を用いて、200字以内で述べなさい。
問3【解説】
資料3は、中国のAI産業の強さを、巨大市場、データ収集力、起業家精神、緩い規制、公的資金などの社会的要因に見る。一方、日本はサイバー空間AIのマス・マーケットでは中国に劣るが、医療、介護、交通、製造業、科学研究などの現場と専門人材を持つ。そこから実世界AIを発展させる可能性がある。
問3【解答プロセス】
- 議論の整理: 中国の強みと日本の強みを対比する。
- 問題発見: 日本はサイバー空間AIの量では競いにくい。
- 論証: 中国は市場とデータが大きく、日本は現場の質と専門性が強い。
- 結論: 日本は実世界AIで独自性を出すべきだとまとめる。
- 吟味: 日本の弱点を認めたうえで、別の勝ち筋を示す。
問3【解答】
(1)巨大な国内マーケットと、それに伴う大量のデータ収集力。AIビジネスの社会展開を容易にする緩い規制。
(2)日本は、膨大な利用者データを集めるマス・マーケット型のサイバー空間AIでは中国に及びにくい。しかし、医療、介護、交通、製造業、科学技術研究など、質の高い現場と専門人材を持つ。個々の現場で良質なデータを集める実世界AIを発展させられる点が日本の強みである。
字数カウント: 182字
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問4【設問文】
問題4 資料1から資料3のすべてを踏まえて、日本は今後どのようにすべきか、現状に触れつつ、あなたの考えを200字以内で述べなさい。
問4【解説】
設問は、三資料すべてを踏まえる総合論述である。資料1からは、AIには意味理解の限界があり、人間固有の力を育てる必要があることがわかる。資料2からは、日本のAI導入が産業によって偏り、全体として遅れていることが読み取れる。資料3からは、日本は実世界AIで強みを生かせることがわかる。
問4【解答プロセス】
- 議論の整理: AIの限界、日本の導入状況、日本の強みをまとめる。
- 問題発見: 日本はAI導入で遅れがあるが、現場の質という強みがある。
- 論証: 読解・判断は人間が担い、現場データでAIを活用する。
- 結論: 実世界AIを軸に、教育と産業導入を同時に進める。
- 吟味: AI万能論ではなく、人間の役割を残す。
問4【解答】
日本はAI導入で中国や米国に遅れ、産業間の偏りも大きい。しかし、AIは意味理解に限界があり、人間の読解力や判断力は不可欠である。日本は医療、介護、製造業などの現場で良質なデータを集め、実世界AIを育てるべきだ。同時に、AIに代替されにくい思考力を教育で伸ばす必要がある。
字数カウント: 135字



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