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横浜国立大学 都市社会共生学科 前期日程 2018年度 小論文過去問解説(強制収容所の共生と連帯)

横浜国立大学 都市社会共生学科 前期日程 2018年度 小論文過去問解説(強制収容所の共生と連帯)

問1【設問文】

問1. 本文の要旨を200字程度で記しなさい。

問1【解説】

課題文は、石原吉郎がソ連の強制収容所で経験した「共生」を論じる文章である。通常の共生は助け合いとして理解されやすいが、本文の共生は飢え、食器不足、労働、寒さの中で、生き残るために他者の生命に依存せざるを得ない関係として描かれる。

問1【解答プロセス】

  • STEP1 要件確認: 本文全体の要旨を200字程度でまとめる。
  • STEP2 方針: 収容所での食事・労働・睡眠の共生を、単なる協力ではなく不信と連帯が同居する関係として整理する。
  • STEP3 構成: 共生の発生、制度化、筆者の孤独・連帯観の順にまとめる。
  • STEP4 吟味: 筆者の主張である「孤独は連帯の中にある」を落とさない。

問1【解答】

筆者は、強制収容所で飢えや物資不足に直面し、食事や労働、睡眠を他者と組まなければ生きられない「共生」を経験した。そこでは相手は助け手であると同時に、自分の生命を脅かす最も近い敵でもあった。不信や憎悪を互いに承認したうえで成り立つ連帯こそが、筆者にとって孤独の真の姿であり、安易な理解や喜ばしい連帯ではない共生の実態であった。

字数カウント: 162字

問2【設問文】

問2. あなたが今日の世界、社会、文化で想到する〈共生〉のあり方を、筆者の議論がもつ可能性や限界を考えながら、具体的事例に即して600字程度で述べなさい。

問2【解説】

設問は、筆者の共生論を現代の世界・社会・文化に引きつけ、具体例を用いて論じることを求める。筆者の議論の可能性は、共生を美しい理念ではなく、利害の衝突や不信を含む現実として捉える点にある。一方で、収容所の極限状況をそのまま現代社会一般に広げると、協力や信頼を育てる制度の意味を過小評価する限界もある。

問2【解答プロセス】

  • STEP1 要件確認: 設問は「今日の世界、社会、文化で想到する〈共生〉」を、筆者の議論の可能性・限界と具体例に即して600字程度で述べることを求めている。
  • STEP2 問題設定: 現代の共生を「仲良くすること」とだけ捉えると、利害対立や不信を処理できない。
  • STEP3 論証: 外国人住民との地域共生を例に、生活ルール、言語、雇用、教育の摩擦を取り上げる。
  • STEP4 解決策: 共生は対立を消すことではなく、対立を前提に生活を続ける制度と対話を作ることだと論じる。
  • STEP5 吟味: ただし、筆者の収容所的な不信だけを強調すると、信頼を育てる教育や制度の役割が見えにくくなる。

問2【解答】

今日の社会で考えるべき共生は、互いをすぐに理解し合う温かな関係ではなく、違いと不信を残したまま生活を続ける技術である。筆者は、収容所の食給組のように、相手が自分の生命を支える存在であると同時に脅かす存在でもあることを示した。この議論の可能性は、共生を美化せず、利害の衝突を含む現実として捉える点にある。

具体例として、外国人住民が増える地域社会を考えたい。ごみ出し、騒音、学校での言語支援、雇用条件などをめぐって、住民同士の不満が生じることがある。ここで「多文化共生だから仲良くすべきだ」と言うだけでは、困っている側の不安も、孤立している外国人住民の事情も処理できない。むしろ、生活ルールの多言語化、相談窓口、学校と自治体の連携、地域行事への参加の仕組みを作り、互いの不信を管理しながら同じ地域に住み続ける条件を整える必要がある。相手の文化をすべて好きになることではなく、衝突しても生活を壊さない約束を作ることが共生なのである。

ただし、筆者の議論には限界もある。収容所の共生は極限状況であり、そこでは相手への不信が連帯の前提になっていた。しかし平時の社会では、不信を前提にするだけでなく、信頼を少しずつ作る教育、交流、制度設計も重要である。したがって現代の共生は、対立を消す理想でも、不信だけの関係でもなく、摩擦を見える形で調整しながら、共に生活できる条件を更新していく営みだと考える。

字数カウント: 592字

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