日本大学 生物資源科学部国際共生学科 総合型選抜1次選考 令和7年度 小論文過去問解説(持続的な産業構造と多様な人々の共生)
問1【解説】
設問文
現在の日本の社会や経済・産業状況と日本を取り巻く環境の変化をふまえ、これからの日本の新しい持続的な産業構造と多様な人々の共生について考えるとき、あなたはどのようなアイデアを持っていますか?またどのような社会的課題を感じますか?本学科の3つの学びの分野(グローバルビジネス/文化・社会環境/情報・コミュニケーション)のいずれかの観点から論じてください。
課題文・資料の要点
日本の社会・経済・産業の変化を踏まえ、持続的な産業構造と多様な人々の共生について、三つの学びの分野のいずれかから論じる問題である。ここでは「情報・コミュニケーション」の観点から、地域産業と外国人・若者・高齢者をつなぐ仕組みを提案する。
設問条件の判定
- 制限字数: 指定なしのため1000字を目安
- 意見論述の要求: あり
- 選択テンプレート: 5STEPs法
- 判定根拠: 産業構造、共生、社会課題、学びの観点を統合する論述である。
解答プロセス
- STEP1 要件確認: 少子高齢化、人手不足、地域産業の縮小、外国人材の増加を背景にする。
- STEP2 問題設定: 多様な人々が働いていても、情報や言葉の壁により共生が進まない。
- STEP3 論証: 産業構造の持続性には、技術導入だけでなく、多言語情報、教育、地域参加が必要である。
- STEP4 解決策: 情報・コミュニケーションを使い、地域産業の見える化と多文化協働を進める。
- STEP5 吟味: 効率化だけを追うと弱い立場の人が排除されるため、参加しやすさを設計する。
問1【解答】
これからの日本に必要なのは、地域産業をデジタル技術で支えながら、多様な人々が参加できる産業構造をつくることである。日本は少子高齢化により働き手が減り、農業、食品産業、観光、介護、物流など多くの分野で人手不足が深刻化している。一方で、外国人材、女性、高齢者、障害者、地方で働きたい若者など、多様な人々が社会参加する可能性も広がっている。
私が重視したい観点は、情報・コミュニケーションである。産業の持続性を考える時、AIやロボットによる効率化だけが注目されがちである。しかし、現場で働く人が情報を理解できず、地域の人と信頼関係をつくれなければ、技術を導入しても共生は進まない。特に外国人労働者が増える地域では、生活情報、労働条件、防災、医療、教育に関する情報が分かりやすく届くことが重要である。
具体的なアイデアとして、地域産業を支える多言語デジタル・コミュニケーション基盤をつくりたい。たとえば、農業や食品加工の作業手順を動画とやさしい日本語、多言語で共有する。災害時には、避難情報や職場の安全確認を多言語で発信する。さらに、地域の事業者、学校、自治体、外国人住民が参加できる交流の場をオンラインと対面の両方で設ける。これにより、働く人は作業を覚えやすくなり、地域住民も互いの背景を理解しやすくなる。情報が共有されれば、ミスや誤解も減り、職場の安全性も高まる。
社会的課題は、情報格差と偏見である。デジタル化が進んでも、高齢者や日本語が得意でない人が使えなければ、かえって排除が進む。また、外国人を単なる労働力として扱えば、地域に定着せず、対立も生まれやすい。共生とは、同じ地域で暮らす人を労働力ではなく生活者として受け止めることである。
そのためには、情報を届けるだけでなく、双方向の対話が必要である。困りごとを相談できる窓口、職場で意見を出せる仕組み、地域行事に参加しやすい案内を整えるべきである。大学では、異文化理解、地域社会、情報発信を学び、相手に伝わる言葉や媒体を選ぶ力を身につけたい。持続的な産業構造は、効率だけでなく信頼によって支えられる。情報・コミュニケーションの力を使い、地域産業の生産性と多様な人々の共生を同時に実現する社会を目指したい。
字数カウント: 925字



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