日本大学 生物資源科学部バイオサイエンス学科 総合型選抜1次選考 令和7年度 小論文過去問解説(バイオサイエンスで支える持続的な生活)
問1【解説】
設問文
私達の豊かな生活を持続的に発展させるためには、バイオサイエンスを活用したどのような技術が必要であるのかを自ら考えて具体的に述べなさい。またその技術を実現するためには、本学科でどのような知識や実験技術を身につけるべきであるのかについても述べなさい。
課題文・資料の要点
設問は、持続的な生活の発展に必要なバイオサイエンス技術を一つ具体化し、その実現に必要な大学での学びを述べるものだ。ここでは、微生物を活用した食品廃棄物の資源化技術を取り上げる。
設問条件の判定
- 制限字数: 指定なしのため1000字を目安
- 意見論述の要求: あり
- 選択テンプレート: 5STEPs法
- 判定根拠: 技術提案と学修計画を結びつける志望型小論文である。
解答プロセス
- STEP1 要件確認: 豊かな生活の持続には、食料、環境、資源循環を同時に考える必要がある。
- STEP2 問題設定: 食品廃棄物は環境負荷である一方、未利用資源でもある。
- STEP3 論証: 微生物は有機物を分解・変換でき、飼料、肥料、機能性物質の生産に応用できる。
- STEP4 解決策: 微生物発酵による食品廃棄物の資源化技術を発展させる。
- STEP5 吟味: 安全性、品質管理、社会実装を学ぶ必要がある。
問1【解答】
私達の豊かな生活を持続的に発展させるために必要な技術は、微生物を活用して食品廃棄物を資源化するバイオサイエンス技術である。豊かな生活は、十分な食料、清潔な環境、安定した産業によって支えられている。しかし現在は、食品が大量に捨てられる一方で、廃棄物処理による温室効果ガスの発生、飼料や肥料の輸入依存、食料生産コストの上昇が問題となっている。
食品廃棄物は単なるごみではなく、糖質、たんぱく質、脂質などを含む有機資源である。これを微生物の働きで分解・発酵させれば、堆肥、飼料、バイオガス、機能性成分などに変換できる。たとえば、乳酸菌や酵母、糸状菌を利用して食品残さを発酵させれば、保存性を高めた飼料や土壌改良材として活用できる可能性がある。
この技術が重要なのは、環境対策と食料生産を同時に進められるからである。廃棄物を減らすだけでなく、地域内で資源を循環させれば、輸送や処理に伴う負荷も減らせる。また、発酵によって有害菌の増殖を抑え、成分を安定させることができれば、農業や畜産にとって利用しやすい資源になる。輸入飼料や化学肥料に依存しすぎない仕組みをつくることは、災害や国際情勢の変化に強い食料システムにもつながる。
ただし、微生物を使えば自動的に安全で有用な資源ができるわけではない。食品廃棄物の種類は一定ではなく、塩分、油分、水分、混入物も変化する。発酵条件が不適切であれば、悪臭や有害物質、病原菌の問題が生じる可能性もある。そのため、科学的な管理が不可欠である。
この技術を実現するために、本学科ではまず微生物学、生化学、分子生物学を学びたい。微生物がどのような酵素を使って有機物を分解し、どの条件で増殖するかを理解する必要がある。次に、培養、無菌操作、PCR、成分分析、顕微鏡観察などの実験技術を身につけたい。さらに、得られたデータを統計的に評価し、安全性と再現性を確認する力も必要である。
将来は、地域の食品工場、農家、自治体と連携し、廃棄物を地域資源に変える研究や実用化に関わりたい。実験室でよい結果が出ても、現場で扱いにくければ普及しないため、コスト、作業性、におい、衛生管理も含めて考えたい。バイオサイエンスは、生命の仕組みを理解するだけでなく、社会の課題を解決する力を持つ。微生物の力を安全に活用し、食料と環境を両立させる技術を発展させたい。
字数カウント: 974字



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