広島市立大学 国際学部 前期日程 2019年度 小論文過去問解説(非暴力とプラスチックごみ)
問題の概要
平成31年度の広島市立大学前期日程小論文は、第1問がマーティン・ルーサー・キング牧師とモンゴメリー・バスボイコット事件を扱う日本語文章、第2問がプラスチックごみ問題を扱う英文で構成されている。第1問では、非暴力が単なる無抵抗ではなく、道徳的正当性、第三者の支持、大衆参加を生み出す戦略であることを理解する必要がある。第2問では、プラスチック廃棄物の埋め立て・焼却・削減をめぐる対立を読み取り、自分の日常でできる環境行動を英語で説明する力が問われる。
設問文
第1問 以下の文章は、アメリカのアラバマ州モンゴメリーのバスボイコット事件と、その指導者であったマーティン・ルーサー・キング牧師を論じている。この問題文を読んで、あとの問いに答えなさい。
問1 下線部で「イギリス人」「ロシア人」は、それぞれどのような意味合いで取り上げられているだろうか。それぞれについて下からもっとも適切なものを選び、番号で答えなさい。(1)植民地支配 (2)第二次世界大戦 (3)奴隷制度 (4)冷戦 (5)南北戦争
問2 下線部のようにラスティンとスマイリーが考えたのはなぜか。本文にそくして25字以内で答えなさい。
問3 下線部で、「非暴力には固有のメカニズムがあり、被抑圧集団がとり得る方法として、暴力よりもはるかに効果がある」と論じている理由を、本文にそくして200字以内で答えなさい。
問4 モンゴメリーのバスボイコットを成功に導いた、非暴力抗議運動としての特徴は何か。本文にそくして具体的に4つあげなさい。
問5 非暴力に関する著者の議論を踏まえて、あなた自身は非暴力についてどのように考え、どのように行動すると思うか。できるだけ具体例を示しながら400字以内で述べなさい。
第2問 次の英文を読んで、あとの問いに答えなさい。
問1 下線部のthe restとは具体的には何か。解答欄を満たす程度の日本語で説明しなさい。
問2 At present, what are the two possible ways for European countries to dispose of waste plastic they cannot rely on other countries? Answer this question in English using words in the article.
問3 下線部のa more radical ideaについて、次の2つに答えなさい。1) このアイデアとはどのような方法か。解答欄を満たす程度の日本語で説明しなさい。2) このアイデアには賛成する人たちと反対する人たちがいる。その人たちは主にどのような理由から賛成、または反対しているのか。それぞれの理由を、解答欄を満たす程度の日本語で述べなさい。
問4 下線部のErik Solheimは、プラスチックごみの問題の解決方法について、文中に述べられた他の人たちとは異なる見解を述べている。それはどのようなことか、解答欄を満たす程度の日本語で答えなさい。
問5 Think about your daily life. What is something you can do to help the environment and how do you think it will help? Write your answer in your own words in English in the space provided on the answer sheet. Be sure to include specific details or examples to support your ideas.
課題文の要点
第1問の本文は、キングが当初、非暴力をあらゆる場面で通用するものとは考えていなかったことから始まる。ラスティンとスマイリーは、キングがすでに大衆的な非暴力運動を実践している一方で、指導者としては非暴力を「生き方」として徹底する必要があると説いた。グレッグの非暴力論では、非暴力は「道徳的柔術」とされ、敵の暴力を利用して敵の道徳的正当性を崩し、第三者の支持を得る仕組みが説明される。
第2問の英文は、中国が廃プラスチック輸入を制限した後、欧州が廃プラスチックの処理に困っている状況を述べる。焼却して発電・熱利用する案、埋め立てて将来のリサイクル技術を待つ案、そもそも不要なプラスチック使用を削減する案が示される。Erik Solheimは、埋めて将来掘るより、不要なプラスチックを避けることを重視している。
第1問・問1【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 選択式
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: 文脈上の語の意味合いを選択肢から選ぶ問題である。
解答プロセス
「イギリス人」は、ガンディーが非暴力抵抗を行った相手であり、インド独立運動の文脈なので植民地支配を指す。「ロシア人」は、1951年のキングの文章で、相手が同じように反応するとは限らない例として出されており、冷戦期の敵対関係を指す。
第1問・問1【解答】
イギリス人:(1)植民地支配 ロシア人:(4)冷戦
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第1問・問2【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 25字以内
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: ラスティンとスマイリーがキングに可能性を見出した理由を本文から説明する問題である。
解答プロセス
本文では、キングがガンディーの戦術を知らないまま、すでに三か月も大衆的非暴力運動を実践していたことが理由とされている。
第1問・問2【解答】
大衆的非暴力運動を既に実践していたから。
字数カウント: 22字
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第1問・問3【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 200字以内
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: 本文に即して非暴力のメカニズムを説明する問題である。
解答プロセス
答案には、非暴力抗議者の苦しみが道徳的正しさを示すこと、敵の暴力が敵側の正当性を失わせること、内部対立と第三者の支持を生むこと、暴力より大衆参加しやすいことを入れる。
第1問・問3【解答】
非暴力の抗議者は、自らが苦しむことで道徳的正しさを示し、その苦しみを見過ごせない第三者の心理に働きかける。敵が暴力で攻撃すれば敵の道徳的正当性は失われ、内部対立や世論の支持を生む。また、非暴力は武器を必要とせず、女性や年配者も含む大衆が参加しやすいため、運動を広げ結束させやすいからである。
字数カウント: 148字
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第1問・問4【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 具体的に4つ
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: 本文からバスボイコット成功の特徴を列挙する問題である。
解答プロセス
特徴は、非暴力の徹底、大衆運動、黒人女性の主体的参加、白人側の分裂と経済的圧力、全国的支持などに整理できる。四つに絞って答える。
第1問・問4【解答】
1. 暴力や報復に訴えず、非暴力を貫いたこと。 2. 指導者だけでなく、黒人女性を含む「下からの」大衆運動であったこと。 3. バス会社や白人実業界に経済的損失を与え、白人側の内部を分裂させたこと。 4. 道徳的正当性を得て、全国の支持者から寄付金や共感を集めたこと。
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第1問・問5【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 400字以内
- 意見論述の要求: あり
- 選択テンプレート: 5STEPs法
- 判定根拠: 非暴力について自分の考えと行動を具体例つきで述べる意見論述である。400字以内だが、論述なので5STEPs法で構成する。
解答プロセス
STEP1 議論の整理: 設問は、著者の非暴力論を踏まえ、自分ならどう考え行動するかを問う。本文では、非暴力は弱さではなく、敵の暴力の正当性を失わせ、第三者を動かす方法だとされる。
STEP2 問題発見: 問題は、怒りを暴力に変えると、相手の結束と正当化を助け、対話の可能性を閉ざす点にある。
STEP3 論証: なぜなぜ分析で考える。暴力は相手に防衛の口実を与える。口実が生まれると、周囲も問題の本質より衝突そのものを見る。すると抗議の道徳的意味が伝わりにくくなる。
STEP4 解決策・結論: 自分は、学校や地域で不当な扱いを見たとき、記録、対話、署名、公開質問など、相手を傷つけずに問題を可視化する行動を選ぶ。
STEP5 吟味: ただし、非暴力は沈黙ではない。怒りを消すのではなく、他者が参加できる形に変えることが重要である。
第1問・問5【解答】
私は、非暴力とは我慢して黙ることではなく、怒りを他者が参加できる形に変える方法だと考える。
暴力で抗議すれば、相手は自分を守るために結束し、こちらの主張より衝突の印象が強くなる。
たとえば学校で特定の生徒への差別的な扱いを見た場合、私は相手を攻撃するのではなく、発言や出来事を記録し、複数人で先生に説明を求める。必要なら署名や公開質問の形にして、問題を見えるようにする。
その方が、関係のない人も「これはおかしい」と判断しやすい。非暴力は弱い手段ではなく、相手に暴力の口実を与えず、周囲の良心を味方につける強い手段である。
字数カウント: 254字
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第2問・問1【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 解答欄を満たす程度
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: 英文中のthe restが指す内容を日本語で説明する問題である。
解答プロセス
the restは、中国に送っていた廃プラスチックのうち、中国の規制後に他のアジア諸国へも十分に送れず、欧州内で処理先が決まらず残っている分を指す。
第2問・問1【解答】
中国が輸入を制限した後、欧州が他のアジア諸国にも十分に送れず、処理先が決まらないまま残っている廃プラスチック。
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第2問・問2【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 英文で解答
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: 本文から二つの選択肢を英語で答える問題である。
解答プロセス
本文には、他国に頼れない場合、European countries will be to either dump or burn their plasticとある。
第2問・問2【解答】
They will have to either dump or burn their plastic.
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第2問・問3【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 解答欄を満たす程度
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: a more radical ideaの内容と賛否理由を説明する問題である。
解答プロセス
アイデアは、廃プラスチックを地下に戻し、将来リサイクル技術が進歩したときに「採掘」する方法である。賛成側は、焼却によるCO2排出を避け、将来資源として使えると考える。反対側は、将来技術に期待するのは無責任で、洗浄費用、劣化、火災リスクがあると考える。
第2問・問3【解答】
1. 廃プラスチックをいったん地下に埋め、将来リサイクル技術が進歩したときに資源として掘り出して利用する方法である。
2. 賛成する人は、焼却すればCO2が空気中に放出されるため、管理された埋め立て地に保管すれば将来の資源になり得ると考える。反対する人は、将来の技術に期待して埋めるのは無責任で、洗浄費用が高く、地下で損傷したり火災が起きたりする危険もあると考える。
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第2問・問4【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 解答欄を満たす程度
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: Erik Solheimの異なる見解を本文から説明する問題である。
解答プロセス
Solheimは、埋めるか燃やすかではなく、プラスチック政策の中心を使用削減に置くべきだと述べる。特にストローや化粧品中のマイクロプラスチックなど、不要な製品を避けることを重視する。
第2問・問4【解答】
プラスチックごみを埋めたり将来掘り出したりするよりも、政策の重点をプラスチック使用の削減に置き、ストローや一部化粧品のマイクロプラスチックなど不要な製品を避けるべきだという見解。
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第2問・問5【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 解答欄内の英作文
- 意見論述の要求: あり
- 選択テンプレート: 5STEPs法
- 判定根拠: 自分の日常で環境のためにできることと、その効果を具体例つきで英語で述べる意見論述であるため、5STEPs法で構成する。
解答プロセス
STEP1 議論の整理: 設問は、日常生活で環境保護のためにできる具体的行動と、その行動がどう役立つかを英語で説明するよう求める。
STEP2 問題発見: プラスチックごみ問題では、処理方法だけでなく、不要な使い捨て品を減らすことが重要である。
STEP3 論証: 帰納法で、マイボトル、マイバッグ、過剰包装を断る行動を例にする。小さな行動でも繰り返せば廃棄量を減らし、周囲にも広がる。
STEP4 解決策・結論: 自分ができることは、使い捨てプラスチックを毎日減らすことである。
STEP5 吟味: 完全にプラスチックを使わないことは難しいため、継続しやすい行動に絞る。
第2問・問5【解答】
One thing I can do to help the environment is to reduce single-use plastic in my daily life. For example, I can carry my own bottle and shopping bag instead of buying drinks in plastic bottles or using plastic bags. I can also refuse unnecessary straws and choose products with less packaging. These actions may look small, but they reduce the amount of plastic waste I produce every day. If many people do the same thing, shops will have a reason to offer fewer disposable products. I cannot stop using all plastic immediately, but I can change my habits and make waste reduction a normal part of my life.
字数カウント: 112 words



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