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広島大学 総合科学部総合科学科総合科学文科系 一般前期・外国人留学生選抜B 2021年度 小論文過去問解説(石を読む文化と自然)

広島大学 総合科学部総合科学科総合科学文科系 一般前期・外国人留学生選抜B 2021年度 小論文過去問解説(石を読む文化と自然)

問1【解説】

設問文

以下に掲げた五つの資料から読みとった内容を踏まえて、一二〇〇字以内で小論文を作成しなさい。その際、解答用紙冒頭の所定箇所に自分の論旨にふさわしい題(タイトル)を記入すること。なお、小論文の作成にあたっては、少なくとも三つの資料を取りあげ、解答用紙末尾の所定箇所にそれらの資料番号をすべて記入すること。

設問条件の判定

  • 制限字数: 1200字以内
  • 意見論述の要求: あり
  • 選択テンプレート: 5STEPs法
  • 判定根拠: 五資料の内容を踏まえ、自然物・文化・場所経験について論じる総合小論文として作成する。

解答プロセス

  • STEP1 議論の整理: 資料には、石に刻まれた文字や、場所を読む身体感覚、芸術と都市の相互作用が含まれる。
  • STEP2 問題発見: 自然物を単なる素材や背景として見ると、人間がそこに意味を読み込む文化的働きを見落とす。
  • STEP3 論証: 石、野生空間、都市と作品の関係を並べ、自然と文化の境界が固定的でないことを示す。
  • STEP4 結論・解決策: 自然を読む文化は、環境への感受性を育てる。
  • STEP5 吟味: 意味の読み込みが独りよがりにならないよう、歴史と共同体の文脈を確認する。

問1【解答】

題: 自然物を読むことが文化をつくる

自然と文化は別々のもののように見える。しかし、広島大学2021年入学試験の資料は、人間が自然物や場所に意味を読み込みながら文化を作ってきたことを示している。石はただの物質ではない。そこに文字が刻まれ、奉納物や記念碑として置かれると、石は記憶や祈りを担う存在になる。

このことは、場所を移動する感覚とも関わる。野生の空間をナビゲーションする能力についての資料は、人間が地形、方向、風景を読みながら行動してきたことを示す。地図やスマートフォンが普及した現代では、場所は画面上の点として扱われやすい。しかし本来、場所は身体で読み取るものであり、歩く速度、視線、音、光によって意味を持つ。

芸術と都市の関係を扱う資料も同じ方向を示している。作品は都市の背景に置かれるだけではない。都市を歩くことで作品の意味が変わり、作品を知ることで都市の見え方も変わる。つまり、自然物、都市、芸術は、それぞれ独立して存在するのではなく、人間の読解行為を通じて結びつく。

問題は、現代社会が自然物や場所を、利用できる資源や観光商品としてだけ扱いがちな点にある。石は建材、海は資源、街は消費の場として見られる。しかし、そこに刻まれた記憶や、身体が感じ取る方向感覚、共同体の歴史を見落とせば、私たちは場所との関係を浅くしてしまう。

ただし、自然物に意味を読むことは、勝手な思い込みでよいということではない。石や場所に与えられた意味は、歴史、宗教、地域の暮らしと結びついている。したがって、自然を読むには、個人の感性だけでなく、共同体の記憶を学ぶ姿勢が必要である。

この姿勢は、環境を守ることにもつながる。自然を数字上の資源量としてだけ見れば、利用できるかどうかが判断基準になる。しかし、石や森や海を記憶の宿る場所として見れば、失われたときに何が失われるのかをより具体的に考えられる。文化的な読みは、環境への責任を感情と知識の両面から支える。

結論として、自然物を読む文化は、人間が環境とどう関わるかを深める。石や場所を単なる物としてではなく、記憶と関係を持つ存在として見ることが、自然への感受性を育てるのである。

字数カウント: 932字

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