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広島大学 総合科学部総合科学科総合科学文科系 一般前期・外国人留学生選抜B 2021年度 小論文過去問解説(芸術作品と都市)

広島大学 総合科学部総合科学科総合科学文科系 一般前期・外国人留学生選抜B 2021年度 小論文過去問解説(芸術作品と都市)

問1【解説】

設問文

以下に掲げた五つの資料から読みとった内容を踏まえて、一二〇〇字以内で小論文を作成しなさい。その際、解答用紙冒頭の所定箇所に自分の論旨にふさわしい題(タイトル)を記入すること。なお、小論文の作成にあたっては、少なくとも三つの資料を取りあげ、解答用紙末尾の所定箇所にそれらの資料番号をすべて記入すること。

設問条件の判定

  • 制限字数: 1200字以内
  • 意見論述の要求: あり
  • 選択テンプレート: 5STEPs法
  • 判定根拠: 五資料から少なくとも三資料を取り上げ、作品・場所・文化経験について論じる総合小論文であるため。

解答プロセス

  • STEP1 議論の整理: 資料は、作品と都市、コンテンツツーリズム、身体的な場所経験、石や自然物の読み取りを扱っている。
  • STEP2 問題発見: 作品だけを独立した対象として見ると、作品を支える都市や場所の意味を見落とす。
  • STEP3 論証: ビートルズとリヴァプールの例を中心に、作品と都市の相互作用を論じる。
  • STEP4 結論・解決策: 芸術体験は作品の鑑賞だけでなく、場所を読む行為として広がる。
  • STEP5 吟味: 観光消費に浅く流れないよう、作品と場所の相互理解を重視する。

問1【解答】

題: 作品を通して都市を読み、都市を通して作品を読む

芸術作品は、作品だけで完結しているように見える。しかし、広島大学2021年入学試験の資料が示すように、作品と場所は互いに意味を与え合う。資料一では、ビートルズの音楽とリヴァプールの関係が論じられている。従来は、都市が作品の背景であり、作品が主役だと考えられがちだった。だが、リヴァプールを歩き、スタジオや住居跡をたどり、街に流れる音楽を聞くと、都市そのものが読まれるべきテクストになる。

この考え方は、コンテンツツーリズムにも関わる。作品の舞台を訪れる行為は、単なる観光消費に見えることがある。実際、写真を撮って土産を買うだけなら、作品も場所も記号として消費されるだけである。しかし、その場所の歴史、産業、住民の生活を知ろうとすれば、作品は都市を理解する入口になる。

また、資料には野生の空間をナビゲーションする能力や、石の表面に刻まれた文字を読む経験も見られる。これらは、場所が単なる背景ではなく、人間の感覚や記憶を作るものであることを示す。都市や自然は、作品を置く容器ではなく、作品を読む身体のあり方を変える。

このように考えると、作品鑑賞は美術館や書物の中だけで完結しない。作品ゆかりの場所を歩くことは、作品の外側へ出ることではなく、作品を成立させた空気、距離、音、産業、労働の痕跡に触れることである。たとえば音楽を聴きながら街を歩けば、旋律は単なる音ではなく、その街の記憶を呼び起こす媒体になる。

たしかに、作品研究には作品そのものの形式や構造を丁寧に読む作業が必要である。音楽なら旋律やリズム、小説なら語りや文体を無視して、場所の話だけにしてしまえば、芸術研究は浅くなる。しかし、作品だけを切り離しても、なぜその作品が特定の場所で生まれ、そこに人を引き寄せるのかは分からない。

結論として、芸術体験は作品と都市の相互作用として捉えるべきである。作品は都市を物語化し、都市は作品に身体的な奥行きを与える。重要なのは、作品を消費の目印にすることではなく、作品を通じて場所を読み、場所を通じて作品を読み直すことである。

字数カウント: 909字

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