岐阜大学 地域科学部 前期日程 2015年度 小論文過去問解説(多様性と専門分野・エネルギー政策)
問題I・問1【設問文】
問1 下線部(a)「自分がヘンなやつでもいいじゃないか」と著者が思えるようになった理由を「多様性」という言葉を用いて説明しなさい。(150字程度)
問題I・問1【解説】
課題文の筆者は、死体や虫を好きなことを「ヘン」と見られうるが、その関心を通じて世界を見ている。生徒との相互関係により、一般的な好悪の基準から外れる関心にも価値があると確認している点を押さえる。
問題I・問1【解答プロセス】
- STEP1 要件確認: 「多様性」を使い、理由を150字程度で説明する。
- STEP2 方針: 筆者の個人的関心と、生徒との関係を結びつける。
- STEP3 構成: 一般的価値観、筆者の気づき、多様性の意義の順に述べる。
- STEP4 吟味: 「ヘン」を単なる自己肯定で終わらせず、多様な世界の見方につなげる。
問題I・問1【解答】
筆者は、死体や虫を好むことが一般には「ヘン」と見られても、そこから世界を理解する独自の視点が生まれると気づいた。生徒たちとの関係を通じて、関心の向け方は一つではなく、多様性の中に学びや面白さがあると実感したためである。
字数カウント: 110字
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問題I・問2【設問文】
問2 下線部(b)「僕の場合、生物をみるということが、すなわち僕の世界を見る手段なのだ」とはどのようなことか、大学で専門分野を学ぶということと関連付けてあなたの考えを述べなさい。(400字程度)
問題I・問2【解説】
この設問では、専門分野を単なる知識の集まりではなく、世界を切り取る方法として捉える必要がある。筆者にとって生物を見ることは、自然、死、生活、生徒との関係まで理解する入口になっている。
問題I・問2【解答プロセス】
- STEP1 要件確認: 設問は、筆者の表現の意味と大学で専門を学ぶ意味を関連づけることを求めている。
- STEP2 問題設定: 専門は視野を狭めるものではなく、現実を見る足場になりうる。
- STEP3 論証: 生物学を通じて死体や虫を見る筆者のように、専門は日常の現象を深く読む道具になる。
- STEP4 解決策: 大学での学びは、知識習得だけでなく自分の世界の見方を鍛える営みである。
- STEP5 吟味: 専門に閉じこもらず、他分野や他者との対話で視野を広げる必要もある。
問題I・問2【解答】
筆者にとって「生物をみる」とは、生物の名前や分類を知ることだけではない。死体、虫、生徒が持ち込む小さな発見を通じて、自分の生きる世界の成り立ちや、人と自然の関係を理解することである。
大学で専門分野を学ぶことも同じ意味をもつ。専門は、知識を暗記するための枠ではなく、現実を深く見るための視点である。たとえば地域科学を学べば、人口減少、交通、福祉、環境問題をばらばらの出来事ではなく、地域社会の構造として考えられる。
ただし、専門を学ぶほど、自分の見方だけが正しいと思い込みやすい。だからこそ、筆者が生徒との相互関係から自分の見方を育てたように、大学でも他者の経験や異なる分野の知識に触れる必要がある。
専門分野を学ぶ意義は、自分なりの世界を見る手段を得ると同時に、その見方を他者との関係の中で更新していく点にある。
字数カウント: 398字
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問題II・問1【設問文】
問1 震災・原発事故後、なぜ電力の需要が抑制されたのか、また今後、さらに電力需要を減らしていくにはどうしたらいいのかについて、本文中からあわせて三つの点をとり出してまとめなさい。(100字程度)
問題II・問1【解説】
本文は、震災後の電力需要抑制を、運用方法の見直し、効率的な機器の導入、建築物の断熱性能向上やピークカットなどから説明している。
問題II・問1【解答プロセス】
- STEP1 要件確認: 本文中から三点を取り出し、100字程度でまとめる。
- STEP2 方針: 過去の抑制理由と今後の削減策を混ぜて三点に整理する。
- STEP3 構成: 運用、設備、ピーク対策の三点で書く。
- STEP4 吟味: 本文外の一般論に広げすぎない。
問題II・問1【解答】
震災後は照明や空調の運用方法の見直しで需要が抑制された。今後は、効率的な照明・空調機器への更新、建物の断熱性能向上、料金制度やネガワットによるピークカットを進める必要がある。
字数カウント: 89字
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問題II・問2【設問文】
問2 エネルギー政策をめぐる「デカップリング」について、経済成長、エネルギー消費、最大電力の減少、快適性、生活の質、などの言葉を用いて説明し、これによって、社会や経済のあり方を変えて行く可能性について論じなさい。(400字程度)
問題II・問2【解説】
デカップリングとは、経済成長や生活の質の向上を、エネルギー消費の増大と切り離して実現する考え方である。本文は、東京のGDPとエネルギー消費の推移、最大電力のピーク対策を例に、快適性を損なわず需要を下げる可能性を示している。
問題II・問2【解答プロセス】
- STEP1 要件確認: 設問は指定語句を用いてデカップリングを説明し、社会経済の変化まで論じることを求めている。
- STEP2 問題設定: 経済成長には必ずエネルギー消費増が伴うという発想が課題である。
- STEP3 論証: 省エネ設備、断熱、ピークシフトにより、快適性や生活の質を保ったまま需要を下げられる。
- STEP4 解決策: デカップリングは、量的拡大中心の経済から効率と質を重視する経済へ転換する契機になる。
- STEP5 吟味: 技術だけでなく制度や行動の変化を伴わなければ効果は限定される。
問題II・問2【解答】
デカップリングとは、経済成長や生活の質の向上と、エネルギー消費の増大とを切り離す考え方である。従来は、社会が豊かになるほど電力需要も増えると考えられがちだった。しかし本文が示すように、照明や空調の効率化、建物の断熱性能の向上、運用方法の見直しによって、快適性を保ちながらエネルギー消費を減らすことは可能である。
特に重要なのは、年間のごく短い時間に生じる最大電力を減少させることである。ピーク時間帯の料金を高くしたり、節電分を取引したりすれば、大型発電所を増設しなくても安定供給に近づける。
この考え方は、社会や経済のあり方も変える。大量生産・大量消費で豊かさを測るのではなく、少ないエネルギーで快適に暮らす技術、制度、住まい方を評価する社会へ移行できるからである。デカップリングは、省エネ政策にとどまらず、成長の質を問い直す発想である。
字数カウント: 405字



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