山形大学 人文社会科学部人文社会科学科人間文化コース 前期日程 2018年度 小論文過去問解説(文化のグローバリゼーション)
設問一【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 200字から250字
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: 傍線部の意味を、本文の文化のローカル化・越境的アイデンティティの議論に即して説明する問題であるため。
設問文
筆者は、傍線部Aで「文化のグローバリゼーションは確かに世界中の人々の価値観を共有しやすくし、越境的なアイデンティティを形成する可能性を増大させる」と述べています。この意味する内容を、本文に即して200字〜250字で説明しなさい。
解答プロセス
本文は、グローバリゼーションが文化を均質化するだけではなく、各地でローカル化され、人々が国境を越えて価値や自己理解を共有しやすくなると述べる。答案では、文化の流入、変容、共通感覚の形成を入れる。
設問一【解答】
この文は、グローバリゼーションが文化を単に同じものにするだけでなく、人々が国境を越えて共通の価値や自己理解を持ちやすくするという意味である。本文では、マクドナルドやラーメンの例のように、外来文化はその土地の文脈に合わせてローカル化するとされる。すると、人々は自国文化だけでなく、海外由来の文化も自分たちの生活の一部として受け入れる。さらに音楽、食、メディアなどを通じて、異なる国の人々が似た感覚や関心を共有し、自分を一つの国家だけでなく、より広い文化的つながりの中で捉える可能性が高まる。
字数カウント: 244字
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設問二【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 250字から300字
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: グローバリゼーションがコスモポリタニズムと逆の価値観を強める理由を説明する問題であるため。
設問文
筆者は、傍線部Bで「コスモポリタニズムとは正反対の価値観がグローバリゼーションによって増長されることもある」と述べています。なぜこのようなことが起きるのか、250字〜300字で説明しなさい。
解答プロセス
本文は、文化間接触が相互理解だけでなく、差異の強調や排除も生むと述べる。特に「文明の衝突」論やオリエンタリズム、宗教的過激主義への反応が、相手を異常視し対立を強める点をまとめる。
設問二【解答】
それは、文化間接触が増えるほど、相互理解だけでなく、違いへの不安や反発も強まるからである。グローバリゼーションによって人や情報が国境を越えると、異なる宗教、生活様式、価値観に触れる機会が増える。本来それは理解を深める可能性を持つが、相手を「自分たちとは本質的に違う」と見ると、差異が脅威として意識される。本文では、「文明の衝突」論が、イスラムと西洋は共存できないという見方を広め、偏見や排除を強めたことが述べられている。さらに、その排除が移民の若者の絶望や過激主義を生み、予言の自己成就のように対立を現実化させる。だから、グローバリゼーションは寛容だけでなく排外主義も増長しうる。
字数カウント: 290字
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設問三【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 400字から500字
- 意見論述の要求: あり
- 選択テンプレート: 5STEPs法
- 判定根拠: 本文全体を踏まえ、本文外の例を用いて文化接触時代の文化への考えを述べる論述問題であるため。
設問文
本文全体を踏まえた上で、文化間接触が盛んな時代における、国や地域の文化に対するあなたの考えを、本文で挙げられている以外の例を用いて、400字〜500字でまとめなさい。
解答プロセス
5STEPに当てはめた書き方
STEP1 議論の整理
本文は、文化のグローバリゼーションには、ローカル化や相互理解を進める側面と、差異を脅威として対立を生む側面があると述べる。
設問要件対応: 「本文全体を踏まえた上で」に対応する。
STEP2 問題発見
問題は、文化を守ることを、外来文化の排除と誤解してしまう点である。
設問要件対応: 「国や地域の文化に対する考え」を立てる。
STEP3 論証
帰納法を用いる。例として日本のアニメが海外で受容され、各国の制作者が自国の物語や価値観と組み合わせて新しい作品を作る現象を挙げる。
設問要件対応: 「本文で挙げられている以外の例」を用いる。
STEP4 結論
文化は固定した所有物ではなく、交流の中で変化しながら続くものだと考える。
設問要件対応: 自分の考えを示す。
STEP5 吟味
ただし、強い文化が弱い文化を消費するだけにならないよう、背景や担い手への敬意が必要である。
設問要件対応: 文化接触の危険性も踏まえる。
設問三【解答】
私は、国や地域の文化は外からの影響を拒んで守るものではなく、交流の中で変化しながら続くものだと考える。本文は、グローバリゼーションが文化を均質化するだけでなく、ローカル化や越境的なつながりを生む一方、差異を強調して対立を招く危険もあると述べている。
本文以外の例として、日本のアニメ文化を挙げたい。日本のアニメは海外で広く視聴されているが、単に日本文化が一方的に輸出されているだけではない。海外の制作者は、アニメ的な表現を取り入れながら、自国の歴史、宗教、社会問題、言語感覚を組み合わせて新しい作品を作っている。これは文化が国境を越え、別の土地で意味を変えながら根づく例である。
ただし、交流には注意も必要である。ある文化を表面的な記号として消費し、背景にある歴史や当事者を軽視すれば、文化接触は支配や搾取になる。だから大切なのは、外来文化を恐れて閉じることではなく、由来を学び、相手への敬意を持って取り入れる姿勢である。文化は混ざることで弱まるのではなく、対話を通じて新しい生命を得る。
字数カウント: 442字



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