下関市立大学 経済学部 一般選抜前期日程 2020年度 小論文過去問解説(人間とAIのつき合い方)
問1【設問文】
傍線部について、なぜ人間は、「言い方を調整」するようになるのか。囲碁の「局後の検討」における勝者の立場を踏まえつつ、200字以内で説明しなさい。
問1【解説】
課題文は、AIは正直である一方、人間は空気や立場によって言い方を変えると述べる。囲碁の局後の検討では、勝者が自分の優勢を押し通すと、敗者を本番と検討で二度負かすことになる。そのため、真実の追求だけでなく相手への配慮が働く。
問1【解答プロセス】
- STEP1 要件確認: 設問が求める「なぜ言い方を調整するのか」と「囲碁の局後の検討における勝者の立場」を200字以内で説明する。
- STEP2 問題設定: 勝者は正確さだけを主張すると、敗者の面目を傷つける。
- STEP3 論証: 局後の検討は真相を探る場であると同時に、人間関係を保つ場でもある。
- STEP4 解決策: 人間は関係を保つため、真実と配慮の間で表現を調整する。
- STEP5 吟味: 単なる嘘ではなく、共同で考える場を守る調整として説明する。
問1【解答】
局後の検討では、勝者は敗者より優位に立つが、囲碁は形勢判断が難しく、勝者もすべてを理解しているとは限らない。
その場で勝者が自分の正しさを強く主張すれば、敗者は対局だけでなく検討でも負かされたように感じる。
そこで勝者は、真相を探る目的を保ちながらも、敗者の面目に配慮して「そう打たれたら大変でした」と言い方を調整する。
つまり人間は、正確さだけでなく関係を保つため、状況に応じて表現を変えるのである。
字数カウント: 198字
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問2【設問文】
筆者が述べている人間の特性を要約したうえで、人間とAIとのつき合い方について、あなたの考えを600字以内で述べなさい。
問2【解説】
課題文は、人間を単純な「嘘つき」とはせず、相反する欲求を同時に持つ存在として捉える。AIは正直で一貫した処理に強いが、人間は誠実でありたいと思いながら、空気、立場、感情、欲求によって考えや行動が揺れる。したがって、AIとの関係は、人間をAI化する方向ではなく、AIの一貫性を使って人間の揺れを点検する方向で考える必要がある。
問2【解答プロセス】
- STEP1 要件確認: 設問が求める「筆者が述べる人間の特性の要約」と「人間とAIとのつき合い方への自分の考え」を600字以内で述べる。
- STEP2 問題設定: AIの正直さと人間の矛盾性を対比する。
- STEP3 論証: AIは判断補助に向くが、人間関係や価値判断を代替しきれない。
- STEP4 解決策: AIを鏡・道具として使い、最終責任は人間が負う。
- STEP5 吟味: 人間の曖昧さを欠点だけでなく、配慮や創造性の源として扱う。
問2【解答】
筆者は、人間をAIのように常に一貫した存在ではなく、複数の欲求を抱え、状況や立場によって言葉や考え方を変える存在だと捉えている。人間は誠実でありたいと思いながら、損を避けたい、相手を傷つけたくない、強さに憧れつつ弱者に同情するなど、相反する感情を同時に持つ。そのため、矛盾は人間の弱点であると同時に、人間らしさでもある。
私は、AIとは人間の判断を置き換える相手ではなく、人間の矛盾を見つめ直す道具としてつき合うべきだと考える。AIは大量の情報を整理し、論理のずれや見落としを示すことに向いている。たとえば政策判断や学習、医療の説明では、AIの一貫性は有益である。
しかし、人間関係では正しさだけで十分ではない。相手の面目を守る言い方、迷っている人を待つ姿勢、複数の価値の間で折り合う判断は、AIの処理だけでは決められない。むしろAIの答えをそのまま使うと、人間の責任が薄れ、空気に流されるのと同じ危険がある。
だから、AIには事実確認や選択肢の整理を任せつつ、最後に何を大切にするかは人間が引き受けるべきである。AIの正直さを利用しながら、人間の揺れを自覚して判断することが、望ましいつき合い方である。
字数カウント: 499字



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